「ううううう!!!っふっ…………がっ…………」
吉沢は、顔を真っ赤にして歯を食いしばり、どうにか冷蔵庫を腹からどかそうと必死に腕を動かしていた。
大胸筋の上部と下部がくっきり分離する。
肩の筋肉も筋が掴めるほどに隆起させがら、冷蔵庫を押す。だが1トンの重さは吉沢の筋力をもってしてもビクともしない。
「ッハァハァハァハァ!!………ハァハァハァハァ………!!」
吉沢の呼吸が切羽詰まってきた。
肩で息をはじめ大胸筋が上下に揺れる。
全力で筋肉を使っているため、体内の酸素が圧倒的に足りなくなってきたためだ。
心拍数も185を超え、いくらテストステロンにより心肺機能が限界まで高められているとしても限界に近づいていた。
「む………どうだ……」
「ハァハァハァハァ………腹が………ハァハァ……息………ぐっ………ハァハァ………」
息が上がり、吉沢は満足に答えられない。
「もっと筋肉を暴れさせるんだ、もっとだ。」
男は独り言をブツブツと話しながら吉沢の顔にビニール袋を重ねる。
「ブブブ!!!!ぁぁぁぁああーーー!!!ボォウ!!!ブッ!!!」
先ほどの窒息しかかった状況に逆戻りだ。
吉沢は体をくねらせてどうにかして逃れようと必死になった。
ボコボコに割れて隆起した腹筋は、ヒクヒクと収縮して形を固めようとするが、徐々に冷蔵庫の重みで潰れていく。
しかし呼吸を確保するため肺を膨らませようと肋骨を頑張って押し上げる。
腹筋とみぞおちの境目には、狂ったように鼓動する心臓がいた。
「なぁ、きみ心臓どれくらいがんばってるか、わかる?」
「……え………ハァハァハァハァ」
「わか……ら………ないハァハァ………」
「これくらいだ」
そういって、汗ばんだ筋肉の上にスピーカーを置く。
ゴーゴーと激しい呼吸音の上に、ドンドンドンドン!!!と非常なほど激しい鼓動が聞こえてきた。
「こんなに心臓が動いているんだ。心臓を止めるか、射精するか……どっちがいい?」
その問いが発せられた瞬間、吉沢の心拍はさらに跳ね上がり瞬間的に200を超えた。
ズドドドド!!!!と吉沢の心臓が狂い出す。
「……ヒィ………!!」
「し、射精っ!!!出します!!!………ハァハァ……ぐ………ぎ………」
腹を潰されまいと、疲弊し始めた腹筋にボコボコと力が入り続ける中、吉沢は射精を選んだ。
想像を絶する苦痛により性器はすでにビンビンに勃起していた。
ビニール袋により、吉沢の吸える空気はますます薄くなってきた。
心臓はさらに激しさを増す。
ドクンッドクンッドクンッドクンッドクンッ!!!
「ブオッ!!!ブオッ!!!!ブッ!!!がっ!!!」
吉沢の口とビニールが触れてお互いに張り付きあっている中、腹筋が負け始めた。
じわじわではあるが、冷蔵庫が腹に沈んでいく。
吉沢も必死で腹筋を固めて内蔵圧迫を軽くしようとするが、酸素が足りない上にさすがの筋肉も疲弊しており、限界が近づいていた。
「なぁ吉沢。早く射精しなよ。こんなにギンギンにしてさ。」
男は吉沢に問う。
「ブオッ!!ブオッ!!ブオッ!!」
しかし吉沢は呼吸に必死で、一点を見つめたままビニール袋を膨らませ続け、腹筋を波打たせている。返事はなかった。
狂ったように叩きつける心音と呼吸音だけが響く。
「おい聞こえないのか」
男はそういって、吉沢の鳩尾を倍加速装置を身につけた右の拳で垂直に殴った。
ボスゥ!
ドスッ!
「………オゥア………が………」
………その一瞬、吉沢の心臓は停止した。そしてすぐに不整脈を伴って鼓動が再開した。
ド………ズドドドド!!!ド!!ド!!!!ドッドドドッド…………ドドド!!
分厚い大胸筋と腹筋が拳を包み、すっぽりと拳が入る。筋肉は一瞬にして硬くなり、何とか拳を受け止めた。
一瞬の静寂の後、吉沢の悲鳴が響き渡る。
「おゴオーー!!!!オェエええええーーー!!!ゴポォっ!!、ぶおおおおお」
吉沢は小刻みに痙攣しながら唸る。
心臓が一瞬止まるほどのパンチを受けながらも、まだ嘔吐しない。だが、吉沢の顔は涙と鼻水、よだれでベタベタだ。
「よし、後1分でチンコから射精……いけたら休憩だ」
「いけなかったら、1分呼吸を無理やり止めてやる」
吉沢の心拍は180前後を行き来していたが、またもや200を超えて激しい鼓動となった。
吉沢は自らの性器を冷蔵庫ごしに掴もうとするが当然腕の長さが届かない。様々な角度から試すうちにあっけなく1分が経過した。
「いけなかったな。ガマン汁がそんなに出ているのに。」
そう言って男は吉沢が覆われているビニール袋をガムテープで縛り、空気の通り道を塞いだ。
「ハァッハァッ…あ……やめ………!!!ハァハァ……!!!」
塞ぎ終わった瞬間、吉沢は目を見開き、叫ぶ。
「おおおおーーーー!!!がーーーーー!!あーーーーーー!!!」
心拍は216を示す。
その時、吉沢の性器から精液がビチャビチャと突如大量に吐き出された。
白くなく透明で、特有の匂いもないただの粘液。
吉沢の身体は睾丸が体内に入り込み、臨戦態勢を整える。まるでもう死ぬかのような覚悟を持って精を吐き出していた。
なんどもなんども、体内の精をすべて吐き出す。
「………!!………!……………」
吉沢は射精しながら死に向かいつつあった。
全く呼吸ができない。
極限まで肥大化した筋肉は無尽蔵に酸素を消費する…。
胸だけを必死にふくらませようとするが、酸素の供給は道を塞がれている。
(苦しい…おれはここで……しぬのか………ヒョロヒョロだったおれに筋肉つけて……意味はあったのか………あまりの筋肉になぜか勃起してオナニーしたっけ………ああああ…………)
足をバタバタさせ、2分ほど苦しみ悶えた。
脈絡ない思考が頭をよぎり出した。
心拍は徐々に下がり出し108まで下がり、呼吸も当然止まったままだ。
……正確には、まだ筋肉は必死に動こうとしているが吸えるものが全くなかった。
吉沢の全身の発達しきった筋肉は激しい痙攣を起こし、筋繊維一本一本が無尽蔵に収縮を始めていた。
「もう限界か……」
ビニール袋をはがす。
吉沢は、静かに呼吸を再開し、落ち着きを取り戻した。
腹には冷蔵庫が乗ったままだ。腹筋はもう形を留めておらず、平坦な板のようになっているだろう。
男は瀕死の吉沢の筋肉を触っていた。
股間からは青臭い香りが漂い、床にも液体が垂れ始めていた。
何度も何度も、吉沢の痙攣や戻りつつある心拍を耳や手で確かめながら、そして時に筋肉を触りながら、射精しつづけていた。