ドックン、ドックン………
とある実験室にいた1人の若い男は、体内のデータを取得するために様々なセンサーを取り付けられていた。
20歳のツトムだ。
173センチ、74キロ。かなりガッチリした身体で、全身の筋肉が発達していた。
遠目から見ても大胸筋が盛り上がり、試合中に汗で張り付いたシャツからはボコボコに割れた腹筋が浮いて見えるほど筋肉質だった。
F大学の学生で、テニスサークル部長。
週5でジムに通い、恵まれた体格も相まって筋肉は順調に発達していた。
就活を目前に控え交通費を稼ぐためにバイトに応募していた。
「自分の身体の限界を測定するだけ。時給10,000円!」
「腹筋が割れていれば時給アップ!あとは要相談」
いかにも怪しそうだったが、彼は心肺機能も自信があり、筋肉もそれなりにあると自負していた。体力では負けないと考え、応募してきたのだった。
そして、プライベートは守られるということだったのでさまざまな質問に答えた。
一番発達している部位は? 大胸筋
腹筋の割れている数は? 6つ
性器はボッキしますか? する
1人で週に何回くらいしますか? 5回
イクのにかかる時間は? 5〜10分
セックスの時に一番興奮することは?
(腰振ってる時に腹筋や腕の筋肉が盛り上がっている時に筋肉のことを褒められること。チンコをしこってもらってギンギンにされて責められること。イったあとも扱かれて叫んでるのを動画に撮られて、後で見せられること)
やられたくない事は? 痛い事、ケツに突っ込まれる事。
同性で一番興奮した事は?
(サークルでシコりあいをしたこと。一番先にイッたやつが残りのやつらのチンコをシコることになっていて、俺のものもやってもらった。あまりに気持ちよくて、アンアン叫んでしゃぶってもらい、ものすごく出た。)
彼の元気な心臓の音とスゥースゥーという肺の呼吸音が部屋に響き、大きなモニターには壁に手足を固定された彼の裸体が映し出されていた。心拍は50となっていた。激しい運動で心臓が適応し、少ない拍動で必要な酸素を行き渡らせることができている。
大胸筋はしっかりと膨らみ、脂肪が少ないのもあり、厚い腹筋は6つに割れて見えていた。
割れた腹筋の上部はやや小さく、真ん中が大きかった。
(くっそ…‥思っていたのと違う………俺の筋肉の形が全部分析されてる……。力を入れたらそこが赤くなるのか……。心臓の拍動まで見えてるしなんかヤバいところに来たのか……?)
その裸体の真ん中にある心臓が、モニター上で赤く定期的に光る。
「……筋肉に刺激を入れます」
どこからともなく声がする。
………ブォン
羽のような音がした。
「……ぎゃぁおぉぉこおおおおお!!、おおおおお!!!おおおおとーーーー!!おおおお」
男は全身をのけぞらせた。
モニターに映る彼の裸体は、腹筋が真っ赤だった。
どうやら、筋繊維の収縮度合いを示すもののようだ。
刺激は数秒で終わり、筋肉の赤い表示も減っていく。
ハァハァと息を荒くした彼は、腹筋や胸の筋肉をリズミカルに動かしている。
心拍は87を表示していた。
(やばい、これはミスったぞ………逃げられない。やばい。やばい)
どんどん心拍数が上がっていく。
「心臓を限界まで稼働させ、胸を圧迫し、拍動阻害及び呼吸ブロック。耐久性能を確認」
「えっ?えっ?何………」
「はぁ…………はっ…………はあっ…………はっ、……!は!!!っ!!!!はぁっ!!!ぁあ………ぁあ!!!!あ!、!!!!!!!あーー!!………あ」
ドックンドックンドックドックドックドクドクドクドクドッドドドドドドッドドドド!!!!
男の心臓は70程度から一瞬で160回もの速さで拍動し始めた。
息苦しくないのに心臓だけが激しく動き出していた。
モニターには「この男性の心臓は205が最大で、超えると不整脈となります」
とアラートが出ていた。
さらに180、200と拍動が早くなる。
男の心臓は十分な血液を送り出すことができず、血圧が下がっていく。
男は目を虚にしてハァハァと激しく呼吸していたが、顔は真っ赤で目は充血し、脚は痙攣し始めていた。
(やべ……耳がきこえねぇ……体動かないぞ………心臓が……なにこれ……)
「心拍数が規定まで高まったため、胸部を圧迫して呼吸機能を低下開始。肋骨を完全固定開始」
モニターが赤く点滅し、危険を知らせる。
その時、男の胸に巻かれた電動ベルトがキツく締まり出した。
「はっはぁっ!!、はあ!!!は………あっ……ぎっ………はぇっ!!ひぁ!!ひぁ!!!は!!!!は!………ひゃ………ゃ………!!!!ぐぎっ…………ぎっ!!!ぎ!………き…………!!!………」
ズッギュンズッギュズッジュ……と湿った音で必死に拍動する心臓の音が響く。
男はよだれを垂らしながら口を大きく開け、鼻を膨らませて必死になって息を吸おうとしている。
ひぃーーー!!!ひぃーーー!!!!
ぎぃっ!!!!ぁいぁー!!!ひぁーーー!!!ひぁーーーー!!
大きなモニターに映った腹筋は酸素を求めるため何度も何度も赤く呼吸をためしていた。
太ももは高速で、赤くなって戻ってを繰り返しており、だんだんと強くなっている。
ひぁーーー!!ひぁーー!ひぁーーー
ひーーーひーーー、ひー、ひぁー……ひー………っぁー……ぁ………
男の呼吸音はだんだん弱くなり、顔は鬱血し真っ赤になっていく。
どっご……どっご………ど………ご………
心拍もどんどん下がっていき、不安定になっていく。
「ごっごふ………」
全身の筋肉が一瞬硬直したと思ったら、男は力無く肺の空気を吐き出した。
突然全身の力が抜け、心臓が極めて遅い拍動へ変わった。
男の脳が機能を止めつつあるようだ。心臓へのシグナルが止まり、心臓の非常回路がかろうじて拍動を保っている。
「圧迫終了」
モニターにそう表示され、男の胸を縛り付けていたベルトが緩んでいく。
どっ………ど………………どど………とっ………どっ…………どっ………
どっく………どっくっん…………どっくん………
不安定ながら、徐々に心拍が戻っていく。
だが男の筋肉はどこも赤く光らず、わずかに維持されていた呼吸で腹筋がピンク色になる程度だ。反面、上半身は真っ赤だった。呼吸のため、残っている筋肉をフルに使わざるをえなくなっていたからだった。腹部は、もう実用的な筋力は残っておらず脱力してしまっていた。
「ぜぇ……………ぜぇ……………ぜぇ…………」
疲れ果てた顔をしている男は、顔を真っ赤にしながら、腹筋が使えないため喉や首をいからせて必死に空気を吸っていた。
(死ぬ……。たすけて……しぬ……息が……)
「最終測定。全骨格筋を硬直させ、呼吸を阻害。ペニスのサイズ計測、射精量を測定。遂行優先モードに切り替え、被験者の身体限界は考慮しないものとする。」
ブォン……
さっきの音だ。筋肉を固まらせる。
「い、いや………いやだぁ」
「……ぐぉ………ぉお………ぉおお………おおお」
男はもはや叫ぶ体力もない中、限界を超えた骨格筋の収縮による痛みによって力を振り絞って悲鳴を上げた。
モニターは、全身が真っ赤に燃え上がるような表示だ。
心拍数は180まで上昇していた。
四肢はそれぞれ大きな筋肉が盛り上がり、痙攣している。
大胸筋や腹筋、背筋は猛烈な収縮を余儀なくされ、背中が折れそうなほど曲がっていた。
徐々に皮膚の真下に血管が浮き始めてきた。
静脈がパンプアップした筋肉に押され、皮膚の真下まで浮き上がってきていた。
突然、腹筋が大きく波打ち、バシッと縄が切れるような音がした。そして男が絶叫した。
「……っがぁ……ぁああああーーーー!!!!!!あーーーーーー!!!!!」
「……あっ………あ………っ!!!!!………!!!!、!」
モニターには腹筋の6つのうち4つが黒く塗りつぶされていた。筋繊維が断裂し、収縮不能になった部位だ。
腹筋の力で必死に横隔膜を動かしていたがそれができなくなった。
これにより、呼吸に使える力がかなり低下してしまった。
「警告!!酸素飽和度89%に低下」
「呼吸が止まっています」
「警告!!腹部の筋肉が断裂」
男はもはや声を出さず、顔を硬直させて一点を集中して座った目で見つめていた。
腹は青黒くなり、断裂せずに残された筋繊維がプルプルと震えていた。
心拍は200に迫り、酸素不足にあえぐ身体を維持しようと心臓が狂ったように鼓動している。
「腰部に快楽神経用の電流セット。最適電圧を測定完了!」
「………ぁあ…………いく」
男は、ムクムクと勃起させ始めた。
どっぴゃあーー!!どぴゃあ!!!!びちゃぁーーー!!!
と何回も精液をぶちまけた。
一度の射精が終わった後も、「快楽神経の感度を復活」というアナウンスが流れ、一瞬複雑なパルスが男の体内を駆け巡る。
「……ぅあ……ぁあーーー……また……いっく………」
男は消え入るような声でささやき、わずかに腰を振った。腹筋に当たりそうなほど勃起したそれは先が大きく膨らみ、睾丸は体内に入り込み、モニターには括約筋が定期的に赤く光りはじめた。
「あっ………ぁあ………」
男は腰をさらに振り、少しでも性器に刺激を伝え、射精感を高めようとした。
「……あがぁ!!、あっがぁ!!!あ!!、!がぁ!!!!!」
急に全身がまたもや弓形になり、尻や断裂した腹筋、大腿四頭筋が猛烈な速さで収縮し始めた。
腰がピストンを繰り返す。
急速に増大する酸素消費に、それまでも180近い心拍を長時間維持している心臓が悲鳴を上げる。
もう心拍数を上げることができない。
「はあっ!!は!!!はっ!!ひぃっ!!!ぜっ!!ぜぇ!!!ぜっぜっ!!ぜぇえええ!!!ぜっ!!!」
筋肉が動き、血管が浮き、首の太い血管が浮き、目は見開き、口は開き、勃起した性器をブラブラと揺らして酸素を求め出した。
そのとき、
どっびしゃあっ!びっしゃ!!!だらっ………びゅっ……どびゅ………
ようやく2回目の絶頂が来た。
その瞬間、男は力が抜けてうなだれ、そして失禁した。
「根元からのサイズは13.5センチ、射精量16.5ml。累計射精回数28回。」
「全身骨格筋の69%が収縮不能」
「筋繊維の損傷により体内のイオンバランスが悪化。筋繊維への神経伝達率が低下。」
「この男性の肉体測定完了」
男は、その場で崩れ落ちるように解放された。
呼吸もほとんどできず、筋肉はほぼ全て破壊された。
1人では動けず、その場でゼェゼェと息をすることだけ許されていた。
いくら息をしても全く息苦しさは取れず、体は鉛のように重いままだった。
射精した自分の精液に顔を埋め、ただひたすらにハァハァと呼吸し続けるだけだ。
ドッドッドッ……といつまでも心臓が必死に拍動し、消耗し切った筋肉に血を回していた。
男はその後救出されたが、実際に拷問されていたのは2時間余りだった。
後日振り込まれたのはたった日当5万円だった。
鍛え上げた美しい筋肉を破壊され1ヶ月入院し、拷問の様子をSNSにアップされ、毎日何人もの男の精液を掛けられる対価としては…安すぎた。