「ここだ」
スズヤが15分ほど車を走らせ、到着したのは大きな一軒家だった。
「ちょっと変わってて短気な人だ。俺ですら好きじゃないが、金はあるらしい。なに、ちょっと筋肉潰されるだけだ。そのうち回復する。精液も、また溜まるだろ。」
スズヤが言った。
しかしヒロヤはガタガタと震えながら、スズヤに連れられて家に入る。
「こんにちは………あ、今日の人?」
出迎えた痩身の男が聞いた。
「そうそう、ちょっとガタガタ震えてるけど、多分好きな身体だぞ」
「ふふ……そうなの?みたいなぁ」
「ヒロヤさん、ぬいで。服」
「………」
ヒロヤは無言で服を脱いだ。
「あ、」
男が話し始める前に、スズヤが言った。
「全裸だよ」
「え、なんで」
ヒロヤは抵抗した。心拍数がどんどん上がるのがわかった。
「つべこべ言うな、ヤベェことになるぞ」
スズヤは耳打ちした。
「いや、でも。せめて腹だけでいいだろ」
それでもなおヒロヤは素直に従わなかった。
どうせやられるなら精一杯抵抗しようと思っていたのだ。
「………ん!!!ぐぅ!!!!はやくしろぉ」
男がワナワナと震え始めた。
「スズヤ君、この子言うこと聞かないねぇ!」
「す、すまん、早く脱がすから」
スズヤが焦った。初めて焦っている。
「帰る。何ここ。もう嫌だ」
ヒロヤはそのまま玄関に向かっていく。
「あっあーーー!!!!あーーーーー!!!帰るのだめだ!!!スズヤくん、なんで言うこと聞かないんだ!!!レッド発動だぁーーー!!!!2人とも裸になって僕の遊び道具になれっ」
それを聞いたスズヤが膝から崩れ落ちた。
「……あーーー、終わった。終わったよ」
スズヤがへなへなと座り込んだ。
どこからともなく集まった男たちが、逃げるヒロヤも捕まえ、8畳ほどの部屋に2人を閉じ込めた。
そして男たちの気配はしなくなった。
「………なんだこれ………あいつ変なんだけど………」
ヒロヤが独り言を言った。
「お前のせいだからな。すなおに脱いで筋肉触らせてイカせればよかったんだよ!」
「なんでおれが!」
「アイツ、言うこと聞かない奴ら全員拷問して身体めちゃくちゃにするんだぞ?俺もお前も、もうここで終わりだ。生きてたとしてももう普通の生活に戻れないかも」
そう言いながら、スズヤも体を震わせ始めていた。
その時、ガチャっと扉が開いた。
男が隙間から覗き、言った。
「2人とも、腹筋剥がしね。さっきサイコロで決めたんだ。あとは、お互いの鼻と口連結して、間接呼吸してみよっか!」
「腹筋剥がし………?なんだ?!」
ヒロヤが叫んだ。
「寝て手足固定して、お腹を切って腹筋をナイフで剥がすんだ。2人の腹筋外して額に入れるよ。ほら、その部屋の上の方見てみな、あるでしょ」
2人はギュゥっ!!!と心臓を掴まれた感触を覚えた。上を見ると、8つや6つに割れた、そこそこ分厚い腹筋が飾られていた。
その横には、その腹筋を持っていたと思われる男性の裸体が写真に収められていた。
全員泣きそうな顔をしていたり、絶望の顔をして、チンコを勃たせて小さな透明のカップに精液を入れたものを持たされていた。
「腹筋剥がしをやるっていったら、みんな死んだみたいな顔になったんだよね」
「チンコ勃たせて射精できた人から、剥がして行ったんだ。なかなか勃たない人もいたから勃起薬打って、無理やり射精させたこともある」
「腹筋切られて剥がされると、みんな腹筋ガチガチにして耐えるんだよ。もやしみたいな男でも、男らしい声で絶叫する。でもブチブチ音を立てて切れてく。そしたらみんな白目剥いて声出せなくなって、息できなくなるんだよね」
「声聞いてみよっか」
男はそう言って、ボタンを押した。
「ジョウ君27歳。筋肉質だったんだよ。160センチで小柄だけど筋肉詰まってたよ」
クチュクチュと血が混ざる音や、身体がバタバタと暴れている様子に加えて絶叫が響き渡っていた。
「っぎゃぁーーーーー!!!!やめろぉーーーー!!ぁああああーーー!!!っあーーーー!!!ぁーーーー!!!!!!!!!あーーーーっ!!!!ぎぁぁぁあーーー!!!!」
「腹筋半分剥がれたよ。でもまだ硬くできるんだ。ほら、シックスパックだよぉ」
「……がぁあ………ぁあーーー…………あーーーー…………っやめてく………ださい………っぁあ」
そしてブッチィ!!!!と音がして、この男から腹筋が剥がされたようだ。
「……はひ………はひ…………はひ…………はひ…………はひっ…………はっひ…………」
この男の腹は薄いピンクの筋肉や白い膜が露出しており、ところどころ肋骨が見えていた。
手荒に腹筋を引きちぎられたため、付随する筋肉も一緒に剥がれていたようだ。
腹の底の筋肉がピクピクと呼吸のたびに収縮し、腱や他の筋肉と連動して横隔膜を動かしていた。
「ここ、大事な臓器がたくさん入ってるんだって!」
男はそう言って、ジョウの腹に拳を沈めた。
腹筋がなく、拳は腹に沈み、腸やその他の臓器がグニグニと変形していく。
「こぉっ!!!」
掠れた声で一瞬叫んだ後、臓器が潰れた。
「っごっぼぉっ!!!ぐっぼ!!!ごっぼ!!!!」
ジョウは口から嘔吐しようとひっしにえずくが、腹筋がないため腹に圧力がかけられず、力無い呼吸音とうめき声しか出ないようだ。
そのうち、筋肉を浮き上がらせて手足をこわばらせ、そのまま動かなくなった。
ここまでが再生された。
「………どうだった?」「男の絶叫はいいぞ?筋肉もいいけどな」
「この男は体育大の学生だったかな。筋肉質でチンコ大きかったから、射精10回してって言ったけど4回目でイケなくなったから、仕方なく腹筋とって腹まさぐって前立腺を握ったんだ。そしたら吐いて吐いて泡吹いて心臓止まってさ、あははははは!!!」
「細かったけどシックスパックで硬い筋肉だったよ。あ、腹やってるときに何回も射精してたんだった。これで許してくださいって叫んでたか」
男が興奮しながら喋り続けた。
「ついでにマッチョが腹筋剥がされてるときの様子、見る?うふふ」
男が息を弾ませて聞いた。
「……いや、いらな」
スズヤが上擦った声で否定しようとした。
「見るか!!!よし」
男は、その反応を楽しみつつ被せてきた。
あの冷徹かつ人間味の感じられないスズヤが、震え始めた。ヒロヤはそれを見て汗が吹き出してきた。
「スズヤさん、おれら、しぬ?」
「………死ぬかも」
「チンコイキそう、さっきから気持ちいいのがずっと続いてチンコがビクビクしてるんだ」
「………俺も………ってか、もう出てる………」
スズヤはドロドロになった股間をジャージを広げてヒロヤに見せた。震えながら射精していた。
「ほら始めるぞ、みろ」
男が大声で言った。
「現役のボディービルダーだった男だ………1番面白いよ」
「お金欲しいっていうから、逆パパ活だよ……。チンコ小さくて期待外れだったんだよ。だから、腹筋もらったんだけどね」
「……やめでぇーーーー!!!おねがいじまずーー!!!!!すぐにイクからぁ!!!!あなたの思い通りになりますがら!!!」
「いくらでも精液だしますぅっ!!!腰も振るし!!!硬いし!!!だからおねがぃぃいいい」
手足を縛られ、床に寝かされている。
呼吸は激しく乱れ、6つに割れた綺麗な腹筋が上下動く。
「じゃあ僕を楽しませてよ。キミの初体験教えて?」
「中3っ!!!クラスの男友達に犯されたんだ!!!!ケツに入れられてチンコ扱かれたっ………気持ちよくてそこからずっとイカされ続けた!!!」
「へぇ……どんな男友達だった?」
「チンコ大きくて、筋肉すごかった」
「着替えのとき、太ももとか背中の筋肉みてたら俺のチンコ勃起して………!!!」
「バレて、チンコ見られて。腹殴られてうずくまってたら、仰向けにされてビンビンのチンコしごかれて………すごく感じたんだ。すぐイッたら、そのままケツに入れられたっ………」
「きみのその筋肉は何のためにつけてるの?」
「………クラスの男友達にもう一度犯してもらいたかった」
「あいつの筋肉質な身体になりたかったんだ」
「っいやーーー、残念だなぁ!!!今日でその太くて逞しい筋肉削ぎ落とすんだけど、腹筋なくなったらどうなるかっていうと」
「………いいいいーーーーーいやぁーーーー!!!」
「内臓丸見えで、心臓とか動画に撮ってあげるよ。あと、取れた腹筋見せてあげる」
「………っぁあああーーーー!!!!!!!おねがいしまずやめでええええーーー!!!!!」
男は、腹圧でシックスパックを浮き上がらせながら泣き叫んでいた。
丸見えの性器から透明の液体が溢れ出ていた。失禁してしまったんだろう。
「うるさいな」
泣き喚く男の腹にナイフを滑らせた。
「っぎゃぁあああーーーー!!!!!!」
つんざくような悲鳴が響き渡る。
手際良く、腹直筋のサイズだけ切れ込みを入れていく。
腹筋は異常なまでに血管が浮き出し、上半身を持ち上げ、筋組織を必死に固めている。
しかし端から身体に深く切り込みを入れられ、血が大量に吹き出す。
「ゆるじでぇーーー!!!チンコあげます!!あげる!!!金玉も!!!腹筋やめて死んじゃう!!!あと何欲しいのっ!!!!精子もあげる!!!セックスもする!!!あなたのチンコもおれに入れていい!!!シコってあげる!!しゃぶりますっ!!!ぐっあああーーーー!!!!!あーーーー!!!!!!!っぐっぎ!!ぎ!!!!」
男の腹筋はザクザクと切られていき、血が吹き出し始めた。
「………やめろぉ!!!!もうやめろ」
ヒロヤが思わず叫んだ。
「……今からがいいところなのに。だから君たち2人とも精液だしてるんでしょう?」
男が笑いながら言った。
「腹筋が半分くらい剥がれたら急に声が出なくなって、息したいのに力が入らなくて全力で呼吸しだすんだ」
「お前人でなしだな………早くここから出せ」
「……何?もう一度言ってみなよ」
男はあからさまにイライラし出した。
「チンコは短小で、ひ弱で、性的魅力もない男のくせに調子に乗るなっ」
「筋肉もなくてどうせヒョロガリなんだろ、精液も薄いんだろどうせ」
「俺らの勃起したチンコがうらやましいのか?入れてやろうか?」
ヒロヤは膝を震わせながら言った。
「…………んんんんんん!!!!んぐぅうううえー!!!!!あーーーー!!!!!」
男はあまりの怒りに奇声を上げ始め、周りのものを手当たり次第破壊し始めた。
「……これチャンスだ、あいつ潰そう」
スズヤが言った。
「はい」
ヒロヤも答えた。いずれにせよ、腹筋を剥ぎ取られたら生きていくことはできないのだ。
「っぁあーーーー!!!!」
2人は暴れ狂う男に掴み掛かった。
揉み合いになり、男はマウントを取られた。スズヤもヒロヤも、人並み以上の恵まれた肉体をしている。男はどうあがいても体重では到底勝てない。
「っぐっぎぎ!!!!っぎ!!!!っがっ!!!!!!が!!!!!」
ヒロヤは無我夢中で男の首を絞めた。
みるみるうちに男のひ弱な首は締まり、顔は紫に変色し、鬱血し、口から泡が出てくる。
「ふぅっ!!!!っぐっ!!!」
細い身体からは想像できないほどの力で抵抗する男を、ヒロヤは無我夢中で押さえ込んだ。
「ヒロヤ、もうやめろ」
スズヤが叫んだ。急に息を弾ませながら叫んだ。
「……えっ……あっ………!!!」
パッと手を離すと、男は口からピンクの泡を吹いて顔をパンパンに腫らし、股間は失禁していた。
「逃げるぞ、オイ。やばいことになる」
「まぁこいつもいろいろヤバい事やってっから、たえて追ってはこないだろうけどな」
スズヤはそう言った。
ヒロヤは男に言われて脱ぎ捨てた服を急いで着て、2人は逃げ出した。
「さっきからずっと俺、イキっぱなしだ……チンコおかしくなった」
ヒロヤが走りながら笑った。
「勃起してないのに、ドクドク精液がでてる。もうずっとだぜ?」
「俺もだよ。もうびちゃびちゃだ」
走りながら2人でお互いの股間を見合った。
白いものがぼたぼたとこぼれ落ちていた。
「金が良かったからあいつにお前を売るつもりだった。結局、俺もターゲットだった………」
スズヤが言った。
「あ、タクシーだ、乗る?」
ヒロヤが聞いた。
「………いや、やな予感がするから乗らない。あいつ多分………」
「こうなってるよ」
スズヤが顔を剥がし始めた。
スズヤの顔がめくれ、さっきの男の顔がでてくる。
「ふーーー、スズヤくんの筋肉に合わせたボディースーツ暑いんだよね」
「チンコはただの白い絵の具を混ぜて出してるんだけどさ、笑いそうになったよ。」
「……しかしさぁ。やってくれたね。影武者、死にかけてたよ。お気に入りだったのに。彼細いけど腹筋8個に割れてるんだよ。腹パンしてチンコシコってあげると良い声で叫ぶんだ。でもしばらくお預けになっちゃったね。かわりにスズヤくん、腹筋剥がしておいたから後で見よう。いま腹筋がなくなった体で必死に息してる」
「腹筋なくなったらどこで呼吸するんだろうって思ったら、首と肋骨なんだね。そろそろ首も疲れてきてるかな。肩もキツイかなーーー?何せ、手錠かけて吊るしてるから。」
「まぁ筋肉質だしまだ生きてるよ。腹の中身が落ちてないと良いけど」
「キミも必死で走ったから心臓速いんだろうね?こうしたらもっと速くなるよ」
男は目にも止まらぬ速さで動き、ヒロヤの鼻と口をテープで止めた。
「………むぐぅぅうう!!!!うぐ!!!!!」
ヒロヤは喉が焼ける苦しさを即時に感じた。
いくら口から空気を吸おうとしても抵抗しか感じない。
ヒロヤの腹筋が何度も激しく凹み、呼吸を試みている。
「口も鼻も塞がってるのにどこから吸うんだい?筋肉必死に動かしてブゥブゥと音を鳴らしても、何も入らないよ」
男が笑った。
絶望。その2文字が頭を支配した。
(なんでもする!!くるしい!!!!何をしたら助かるんだ!!!!)
「苦しいよねぇ………」
「じゃあ、そうだな。スズヤくんとやりたかったこと、やってみて」
(やらないと死んでしまう………!!!苦しいーーーっ!!!!)
ヒロヤは急いでズボンを脱ぎ、股間を出した。
腰をぎこちなく振り、勃起したそれから精液を吹いた。極限状態の射精だった。
酸素を吸うために腹筋は猛烈に凹み、肺を膨らませようと上半身の筋肉が懸命に動し続ける。
だが口から酸素は入ってこなかった。腹をいくら凹ませて横隔膜を動かしても、肺は膨らまない。
体内の酸素は底をつき、いくら心臓が動いても脳に行き渡る酸素はほとんどない。
最後の望みをかけて、ヒロヤの脳は塞がっている口を大きく開けて腹を凹ませ、3回ほど呼吸を試みた。
だが酸素を取り込めなかったヒロヤは力なく倒れ、その場で弱々しく喉を抑え、まだ呼吸しようともがいていた。
「あははは!!!そうなんだ。それがやりたかったんだ」
「あー、いい筋肉とチンコだね。きみは大胸筋とろうか。肋骨丸出しにして、肺の風船みようね。そして、心臓に血液凝固剤打ってみて、止まらないでいつまで動いてるかゲームだ!」
「スズヤくんも、生きてたら腹筋の隙間から心臓に打とう!!!ふっはははははは!!!!」
男は笑った。
「っぐぉー!!!!ぉーー!!!!」
くぐもった声でヒロヤは無我夢中で叫ぶ。
ヒロヤは、股間が再び快感に襲われた。
もう1日で何回目になるだろうか。
心臓の音が脳を支配し、気管が裂けると思うほど、今まで使ったことのない力で空気を吸おうとする。
だが、徐々にそれは弱くなってきていた。
「あー、チンコ勝手にビクビクさせて。またいってる。死にそうだしそろそろ筋肉むしるから、スズヤくんのところに行ってきて」
ヒロヤはたちどころに身体を抱えられ、かろうじて生きているスズヤの隣に手荒に投げられた。
しばし失神した後、ふと気がつくと横でスズヤが力を振り絞りながら必死に生きるための呼吸を繰り返していた。
腹は不自然に薄く、内部の臓器がボコッと今にもはみ出そうに膨れている。
「スズヤさん、俺、大胸筋取られるんだって。スズヤさん腹筋取られたんだね」
「スズヤさんの心臓の音、腹から聞こえるんだ………血はもう止まってるんだ………腸とか丸見え………」
「ドクドクすごい大きな音で鳴ってる……」
スズヤは、痙攣する上半身の筋肉を振り絞ってゼェゼェと音を立てて息をしている。
もう力はほとんど残っていない。
「スズヤさんのチンコ………すごく勃ってる。これ、シコっていい?スズヤ………さん」
スズヤは土気色の顔をして微かな声で話した。
「ぜぇ……………ぜぇ……………やって…………ぜぇ……………」
ヒロヤは太いそれを優しく刺激した。
「硬いね。おれの胸の筋肉ももうすぐ無くなるんだろうなぁ。」
「もうスズヤさんの精液、今日で終わりだから。俺に全部出して。俺も終わりだけど、俺に全部かけて。」
どびゅ………どっぴゅ!!びちゃっ。
ヒロヤは、さらに硬くって脈動するそれを激しくしごいた。鬼頭を撫で、金玉を揉む。
「………っぁあ…………」
スズヤは息を吐き、そのまま吸うことはなかった。
心臓は、まだ動いている。だが、横隔膜はぴくりとも動いていない。
「俺ももうすぐだな」
なぜか、半ば清々しい気持ちだった。
「じゃ、その薄っぺらい大胸筋、コレクションにするよ。スズヤのそれよりも薄いけど、形は好みかな」
ツカツカと歩いてきた男が笑いながら言った。
ヒロヤは、断末魔の叫びを上げながらブチブチと筋肉をナイフで引きちぎられ、体からむしられた。
必死に胸の筋肉を硬くしていたが、ゴリゴリと刃で刻まれたことで容赦なす筋繊維が引きちぎられ、血がとめどなく流れる。
肋骨が大きく露出し、肺がベコベコ膨らむ様子が目視できる。
「はぁ………はぁ………!!!良い声出すね。大胸筋も片方なくなって、肋骨見えてるよ!」
「ここに電気を流すと………」
「…………っぐぁああーーー!!!あーーー!!!!!あーーーー!!!!!!あーーー」
ヒロヤの露出した胸の肋骨についた筋肉がギュッと締まる。呼吸のためのインナーマッスルだ。神経も近く、電気刺激は上半身全体に響く。
歯を削る処置を麻酔なしでやられているのよりも強い痛みだ。
自分の左の大胸筋を見せられながら露出した心筋に薬剤を打ち込まれた。
「わかる?心臓がドクドク動いてるの。自分の身体の中身見たの初めて?」
鏡を用意され、内臓を見せられる。確かに心臓や肺が忙しなく動いていた。
「あっぎゃぁ!!!ぐっぁ!!!あっ!!!ぎゃぁ!!!あっあ!!!あ!!!」
言葉を発することもできず、ただ恐怖のままに叫ぶ獣と化したヒロヤは、猛烈に暴れながら男に取り押さえられた。
筋肉を失った上半身の力は弱く、力の入らない体はいとも簡単に崩れていく。
男は、猛烈に拍動する心臓目掛けて注射針を刺した。
薬剤を打たれた心臓が、痙攣し始めた。
激しい鼓動と共に身体の中が固まっていく。
「っいっだ…………っか!!!!っ!!!!っ!!!!!!」
全身を硬直させ、おもわず露出した肋骨を掴む。
そして体が崩れ落ちるように倒れていく。
「…‥ぞ、そこはダメだよ心臓!!あ、もう固まるけど!!はははは」
男がいやらしく笑った。
そしてヒロヤは全身の力が抜けていく。
血管が詰まっていき、激痛を感じながら
深い意識の海に沈んでいった。