「うーん……そうだな……この人がいいか」
男は、アプリに現れる男性たちの写真を選んでいた。
「この人いいじゃん」
そういって、1人の男性を選んだ。
スズヤ35歳。
骨格は細いが筋肉で丸みを帯びた体つきをしていた。
精悍な顔立ちだがどこか自信無さげな雰囲気だ。
しかし、全裸の全身写真に切り替えてみると腹筋は6パックに深く割れており、かなり筋肉質な身体をしている。
割と広い肩幅に付着する大胸筋は大きな四角形を描き、時折力が入る際に細かな筋肉部位が分かるほどに締まり、かなりストイックに鍛えられている様子だ。
当然下半身の筋肉も分厚く、大腿筋はカットが割れておりふくらはぎも大きく肥大している。
腹筋の厚さはランク4だ。平均的な男性はランク2のため、かなり分厚い。
「俺も少し鍛えてるけど全然だな。チンコも強そう……」
男はつぶやいた。
スズヤは身長は172センチ、70キロ。
性器のサイズは5センチだが、勃起すると14.7センチのようだ。
性的嗜好はM気質。
勃起時の写真を見てみると、それは硬そうに90度近く屹立していた。
一言コメント「お金に困っています。なんでもします。」
可能なコマンド「筋肉全般、呼吸、電気、圧迫、射精」
「結構できる人だな」
男はつぶやいた。
課金コースを選ぶ。
「えっと、そだな。30分で、可能なコマンド全部使えるやつ。13,500円か。あとで自分のシコってる動画送ったら半額だもんな。」
ブツブツいいながら、男はアプリの画面を遷移させていく。
………準備ができたようだ。
「スズヤさんからメッセージあり」
アプリの画面にそう表示された。
「なんだ?」
「よろしくお願いします。筋肉しか取り柄がないので、好きにしてください。課金オプション歓迎です」
……課金オプションってなんだろう。
アプリの画面を探してみた。
「課金オプションとは、より強いコマンドを呼び出すものです。選んだ方の腹筋ランクは3以上でのみ受け付けます。また、悲鳴や性器そのもの、射精を完全に観察したい場合もご購入ください。3,580円です」
「……なるほど、つけてみようかな」
男は、スズヤにOKの連絡をした。
すぐに返事が来る。
「ありがとうございます……!俺の身体、色々やってください。初めてですが、なんでもやりますので……」
「後で勃起も見たいです」
男が返信した。
「いいですよ、課金してもらってるので、イクところも是非……。できるだけエロくするので」
「本当はこんなに課金してもらえるなら、生で見てもらった方が興奮しますよね。お互いに全裸で」
スズヤが言った。
「ええ、そうですね……」
男は、股間を触りながらそう答えた。
「それに、俺のチンコも触りたいでしょうし、心臓も筋肉も、全部リアルがいいですよねえ」
「もちろんです。まぁできませんけどね笑」
さらに話を広げるスズヤになんとか冷静さを保って返事した。
「あ、参考までに俺の身体とかのどこがいちばんそそられますか?」
「……えーと」
男は少し戸惑いながら答えた。
「まず筋肉のつき方がエロいこと、チンコ硬そうなこと……ですかね……」
「あ、こういうのとか好きですか」
すこししてスズヤから返信がきた。動画付きだった。
全裸で、勃起した性器を手で刺激しながら、腰を振ってシックスパックを強調させていた。
「あー、やばいですね、もう俺スズヤさんに犯して欲しいです。チンコビンビンにたちました……」
「すみません、調子に乗りました。ではいきますね」
男は、高まる心拍を感じながら「開始」ボタンを押した。
画面には、寝ていても6パックに腹筋が隆起して割れており、大胸筋が盛り上がり、腕や下腹部には血管が浮き出ている男の体が映し出された。
ハァハァと息が荒く、胸は息を吐くと同時にピクピクと心拍にあわせて血管が脈動していた。
男はスズヤにチャットした。サービス時間中はスマホをさわれないため、スズヤはあらかじめ用意された簡略なボタンで返事をする。
「余裕なのかなと思ってましたが、緊張してますか?」
「はい」
「悲鳴も我慢せず出してください」
「はい」
「ではやりますね」
「はい」
スズヤの心拍数は140を超えていた。
男は、コマンドを探した。
「……腹……胸………。どこにしようかな………」
「……あ、これだ」
男が押したのは「腹筋-電気鍼MAX」だった。
これは、腹筋に鍼を刺し、電流を流して深層筋ともども収縮させる強制装置だ。少しの時間でもかなりの苦痛があり筋肉が著しく疲労する。
スズヤの割れた腹筋6個に、1本ずつハリが刺されていく。とても細いものだ。
「スタート」
男はボタンを押した。
「……ぅうっぐぅぁ!!」
スズヤの腹筋が、ギュゥーーーッと収縮し、弛緩する動きが繰り返され始めた。
筋肉を支配する神経そのものに働きかけ、EMSをはるかに上回る強度の収縮を可能とする新サービスだった。
「強度4か。じゃ、10にしてみよう」
男はスライダーを指で操作し、最高まで引き上げた。
格段に収縮が強くなり、腹筋が赤く鬱血し、更に筋肉が塊を作り始める。
腹筋が激しく収縮し、上半身が引っ張られる。
「っぐぉおおおお………おおおおお!!!!ぅううう!!!」
スズヤの上半身が細かく痙攣し、はやくも腹筋が悲鳴を上げ始めた。限界を超えた収縮に合わせて上半身が曲がる。
呼吸するにも腹筋が硬直するため息を吸いづらくなった。
「苦しいですか?」
「はい」
「腹筋は痛い?」
「はい」
「これ止めて欲しい?」
「はい」
「でも、なんでもするのですよね?」
「はい」
……じゃ、これかな
男は、腹筋への責めを残したまま大腿筋への電気鍼を追加した。強さは10。
人体のうちかなりの筋肉は大腿筋に集まっている。そこへの負荷は、たちどころに心肺機能に影響する。
男はカメラを股間に変更した。
そこには剥けたチンコがだらんと垂れ、やや毛深い太ももが瞬間的にパンと伸ばされ、痙攣しながら腹筋とともに電気信号で無理やり動かされている様子が映し出された。
睾丸も竿もかなりの大きさだ。それが、大腿筋の収縮に合わせてブルブルとしなっていた。
「はあ!!!はあ!!!はあ!!!はあ!!」
スズヤは呼吸がどんどん逼迫し荒くなっていく。
太ももの分厚い筋肉が、その形をはっきり浮かび上がらせながら彼の意思とは関係なく動き続けている。
その度に脚がピンと伸ばされ、反動で腰が浮く。
心拍は180を超え、スマホから聞こえる彼の呼吸音や心音はかなり激しい。苦痛レベルも70を超え、フルマラソン程度の辛さだ。
「だいぶ苦しそうだ、呼吸が激しい。しかし筋肉いい形してるなぁ………」
次は圧迫………
顔にゴム製のボール状のものを被せ、顔を圧迫していく。当然、呼吸はできなくなる。
男はカメラを顔に変更した。
スズヤは平凡な男の顔だった。だが、脂汗にまみれ、髪は汗で張りつき、一点を見つめ瞬きを繰り返しながら、必死に呼吸をしている男が映っていた。
妙に色っぽく、男はスズヤを見て改めて性欲が膨らんできていた。
「圧迫スタート」
男がボタンを押した。
たちどころにスズヤの顔にゴム製のマスクが被せられた。
元々呼吸が苦しかったこともあり、すぐに限界を迎えてしまった。
マスク越しに口を開け、ベロを突き出し、わずかな隙間で必死に呼吸していた。
息を吸うことは許されず、吸うたびに腹が凹む。耐えきれず吐き出すことも許されず、彼の身体は新鮮な空気を手に入れる術を失ったのだ。
「おごあーーーー!!!!おおおおごぉ!!んんんぁーーー!!!!」
悲鳴が響き渡る。低く男らしい声だ。
身体をバタバタと動かして酸素を取り込もうともがき始める。
酸素飽和度がいよいよ下がり、90パーセントを切り始めた。腹筋はベコベコと激しく動き、息を吸う動作を力一杯繰り返している。
おそく喉は焼けるように苦しく、目の前はもう見えなくなっているだろう。
苦痛レベルは90を超えた。人生で1番と感じる苦しさだ。呼吸は停止し、意識が残る範囲で最も苦痛のレベルだ。
「ごぉっ!!!!あぶっ!!!!ごぁ!!!ぐぉおおおあ!!!!」
力の限り呼吸をしようと必死に吸う。
だが、酸欠が続き脳内のメカニズムが崩れてきたのだろう。体は細かく痙攣し、呼吸は弱く不規則になり始めていた。それでもなお腹筋は収縮し、顔のゴムを取ろうと固定された腕を必死に曲げようとし、大胸筋に筋が入り続けていた。
両脚はリズミカルにバタバタと動いている。
「すごい苦しんでる……鍛えてここまで作った筋肉が全然役立たずに、ただ苦痛を浴びているだけだ」
「一旦全部やめよう」
スズヤから全ての拷問器具が取り外された。
血走った目と滝のような汗をかいた彼は、酸素を必死に取り込んでいた。広い胸郭がリズミカルに動き、苦痛度がどんどん下がっていく。
「さて次は、どうしようかな」
「腹筋に鉄球かな。30キロ。」
「スタート」
どぼっ
鈍い音がした。
「っぉおう!!!!」
スズヤの腹の真ん中にヒットしたようだ。
苦痛度が95をさし示した。呼吸が止まった。
心拍だけが猛烈な速さで生命を維持しようと必死に活動している。
スズヤは目を見開いて口を半開きにし、ぱくぱくと動かしている。ショックで呼吸筋が一時的に麻痺しているのだろう。
「次の球、スタート」
どぼっ
6つの腹筋のど真ん中に直撃し、球は腹に食い込んで転がることはなかった。
「………っぐぉぼ………ごっぼぉっ!!!!!」
「がはっ!!!!」
スズヤが吐き始めた。
顔は青く、もう何も考えられない様子で表情を失っていた。
横隔膜がまたもや一瞬麻痺し、身体をよじって苦痛に耐える。
それから何度も鉄球が落とされ、彼の腹筋は青く変色し始めた。
吐くものがなくなり、腹が波打つように痙攣して
過剰に内臓が動き始めていた。
「一度、顔周り綺麗にしてもらいましょう」
男はそう言った。すぐに清掃され、再開される。
「あと5分か。じゃ、最後に、射精かな。」
男は息も荒くそうつぶやいた。
「騎乗位で射精スタート」
これは、スズヤの脳に直接データを届けて、あたかも自分がいまヤッているかの如く振る舞う機能だ。彼が普段行っているセックスが再現され、射精に至る様子をリアルに確認できる。
もちろん、今までの腹責めにより腹筋は疲弊し、その他の筋肉もだいぶ弱っていた。それに鉄球による圧迫と衝撃で腹部は猛烈なダメージを受けていた。
スズヤの発達した筋肉の多くは損傷しているがそれでもなお通常の男よりも大きな筋力は発生できるようだ。
たちまち彼の性器は90度の角度まで勃起してきた。ドクンドクンと脈に合わせて角度を変えていく。
「はっ……はあっ!!!はっ……っあ!!!」
細かい息遣いとともに、相変わらず真っ白な顔をしたスズヤは腰を振り始める。
赤く腫れた腹筋がその都度収縮する。
「あーーー、あの鬼頭に触りたいっ………」
男は思わずつぶやいた。自身の性器はもうベトベトになっている。
「首絞めしながら射精させて」
スマホに向かって叫んだ。
「っぐ!!!っぐ!!!!っぎぎっ!!!!」
スズヤは顔を真っ赤にして口を横にひき始めた。脳への刺激で擬似的に首絞め状態になっている。特殊な装置によりスズヤの首周りの筋肉が固まり、息を吸えなくしているのだ。
それでもなお腰は動き、太ももの分厚い筋肉がそれを支える。全身の筋肉は止まらず、酸素を消費し続けている。
「………すごい、呼吸が止まってるのに筋肉が動き続けてるから酸欠で顔が青白くなってきてる。もう心拍200だ」
「まだ腰振ってる………あ!」
スマホに前立腺の活動マークが表示された。
射精が迫り、精液が集まっている合図だ。
スズヤの顔はどんどん赤くなり、血液が滞留して膨れ上がってきている。トロンとした目になりながらも、必死に腰を振る。
「首絞めやめて、骨盤の筋肉と肛門の筋肉を最大限パワー出させて」
「っぶあ!!!っはあ!!!はっはっ………」
スズヤは一旦腰を振るのをやめて呼吸に集中した。
「スズヤさん、止まらないで」
「止まるとまた呼吸止めるよ」
「っぁーーー!!いっぐぅうああう………」
「っはぁ!!!はっ!!!!はあ!!!!はあっ!!!!っくっ!!!!っぁ!!あ!」
スズヤはそう叫び、特に強く腰を上に押し付けるように動いた。
その度に自身の顔やカメラ目掛けて精液を飛ばした。
普段の射精よりも筋肉の締め付けが強く、猛烈な快感がスズヤを襲う。
無意識に大腿筋を強く硬直させ、腹筋に力を入れて必死に圧を高め、快感を感じ続けようとしていた。
真っ白で、さらさらの液はあらゆるところに飛び散っていた。
ゼェゼェと荒い呼吸を繰り返すスズヤの頚動脈はバクバクと拍動を繰り返し、息を吸うたびにみぞおちの大きな血管が首と同じ速さで拍動し続けていた。
「あーー、俺ももう我慢できない。射精録画して」
スマホにそう言って、録画モードに切り替える。
そしてカメラスタンドにスマホを固定し、自らのオナニーを録画し始める。
「あっ……いっく!!スズヤさんに犯されたい………あーーーいく」
グチュグチュと性器を刺激すること5回、どっびゃぁーーー!!!と、男は果てた。
「………はぁ……はぁ…………」
男は床に散らばった精液はそのままに、アプリに戻った。
全て解放され、服を着替えたスズヤが息を切らしながらコメントを送信した。
「……苦しいけど、すごく最後よかったです……ありがとうございます」
「キツすぎて意識飛びました……これもうやりたくないですね……」
「イクのは初めてイッた時と同じくらい気持ちよかったですけどね」
「ですよね……すみませんでした。も、もしよかったら、スズヤさんの筋肉とかアレとか、俺に生で見せて欲しいです」
「お金は払います」
「おれがいくまでシコったり、スズヤさんの筋肉とかチンコ触らせてくれますか?」
男はそうチャットした。
「いいですよ。初めてですができるかな。………じゃあ次うちに来てもらえますか?」
「はい」
「住所は………です。これます?ボロいところですが」
「隣の市なので行けます……全然気にしないので大丈夫です」
男は、さきほどの動画を腹責めアプリに送信した。
「次の土曜までは射精しないで溜めておこう……」
そう言って、精液の飛び散った床を掃除したあとに、自分の少し割れた腹筋を触り風呂へと向かった。