ヤマトは、久しぶりのオフだったため、部活仲間たちと温泉へ来ていた。
「あー最高だな」
「そうだな、ゆっくりしようぜ」
数人で楽しく遊び、温泉で疲れを癒していた。
そして夜になり、宿で全員一部屋で泊まることにした。
「……コンコン」
扉をノックされる音がした。もう23時だというのに。
ヤマトと細井以外はもう寝てしまっていた。
「んん、誰だ?」
「はいー」
そういって、ヤマトは鍵を開けた。
そこには汗が滴り落ちるほど憔悴し、手が震えた支配人がいた。
「お客様、大変申し訳ございません。お客様ご一行の……その……身体を………」
「え、なんですかね?」
ヤマトは事態がわからずに聞き返した。
「えっとですね……法律で宿に泊まる男性をランダムで選出し、その………お身体を調べるという………」
「冗談ですよね?聞いたことないです」
「もういいですかね」
ヤマトは迷惑電話の対応のように、少し苛立っていた。
「お客様、違うんです。これ、極秘で1975年ごろから続いているのです。毎年20人がピックされます。すみません。単刀直入に申しますと、お客様のお身体を……筋肉や様々な部位を調査し耐久力を測ります。声や表情、極限状態の肉体の変化……ありとあらゆるものが評価対象です。」
「なので、1名ご指名ください」
支配人は半ば申し訳なさから泣きながら言った。
「は?」
「大変心苦しいのですがご協力いただかなくてはなりません。本当に申し訳ありません。」
「今後は、選ばれたお客様は政府から協力金を生涯受け取れるため、宿泊代もお支払い不要です」
「…‥意味がわからないんですけど……」
ヤマトはその場で固まってしまった。
「本当に……すみません。では……こちらから選ばせていただきます。」
「細井さま、いらっしゃいますよね」
「こちらへ」
「え?何?」
ひどく動揺した声で細井が出てきた。
きっとこの法令のことを知っていたのだろう。
「ヤマト、これ、俺なの?」
「……よくわからんがそうらしい。何なの……?」
ただならぬ空気を察知したようだ。
「いや、お前、ニュース見てないのかよ」
細井がヤマトに聞いた。
「………?」
「男の身体を調べて医学に役立てるらしいんだが、俺は拷問だと思ってる……。きっと、筋肉とか脳みそとかをいじられるんだ」
「男の人が身体に色々つけられて叫んで、たまに射精してるようなニュース、夜にやってるだろ。白目剥いて、顔真っ赤にして身体中痙攣させてさ。」
細井が言った。
「あ、見たことある。俺終わったわ、全世界に身体が……。ヤマト……俺やだよぉ………」
「知ってるだろ。チンコ……小さいしっ……。それにっ……。お前に嫌われたくないんだよ」
「俺、1人になってしまう」
細井はヤマトに抱きついた。
筋肉の弾力がある細井の肩を持ちながらヤマトは聞いた。
「細井………な、なあ、支配人さん、これ、俺じゃダメ?」
「細井は本当にいいやつだから。俺は頭も悪いし、役に立てるのはこの身体しかないんです。こいつ、親がいなくて。俺が一緒にいてやらないと……だから俺はいいんだ……」
「細井も、俺のこといろいろ気にかけてくれて……」
ヤマトは下を向いてそう言った。
「もちろんでございます、良いです。では、ヤマトさま……。明日迎えにきます」
そう言った支配人は深々とお辞儀をして帰っていった。
「……ヤマト……おまえ、いいのか」
「いいんだ……まぁ死なないだろ」
「本当にすまん……!」
「はははー、じゃ。そうだな。おれが帰ってきたら……抱いてくれ」
イタズラな顔で細井を見た。
「……は?!何言ってんだよ…?……でも、おれでよけれ……」
「あ。いや、冗談!………とりあえず介抱してくれよ」
「……ああ、俺にできることはなんでもするよ」
それからはもう話すこともなく、眠りについた。
次の日、ヤマトは支配人に旅館の地下に連れて行かれた。
「……こ、ここは?」
「検査室でございます。みなさん揃いましたので。始めます。2時間ほどで終わります。終われば、皆様には一生涯にわたり特権が付与されます。なので、どうかやり抜いていただけますと………」
支配人が言った。
そう言って、支配人は辺りを見渡した。
ヤマトを含めて3名がいた。
ヤマト 19歳 170センチ61キロ P14
ヒロヤ 30歳 165センチ41キロ P13
ツトム 26歳 180センチ75キロ P17
「ここにおられる方が、今回の対象者となります」
ヒロヤは細身で、筋肉は発達しておらず運動とは縁のなさそうな男だった。サラリーマンで事務仕事をしているらしい。すでに計測済みの筋力の指標として大胸筋の持つパワーがベンチプレス換算で35kgと表示されていた。
ツトムはボルダリングが趣味で、今も大会に出て活動的に鍛えているようだ。腹は5つに割れており、1つは上下で結合していた。
パワーは85kgだった。
ヤマトはテニス部で細いものの無駄がない身体だった。綺麗な6パックで、腹筋端の縦ラインが横腹、肋骨から浮かび上がっていた。
パワーは78kgだ。
3人はそれぞれ台に寝かされ、両手両足を固定された。
「いまから皆様の中枢神経へ様々な周波数の電気を流します。何が起こるかはわからず、実験的に行います。心臓が停止した場合は即座に蘇生措置が行われます。当然、この検査は公平性のため全国に流されます。」
「では、ヒロヤさんから開始」
「ヒロヤさんの筋肉量は、30歳平均と比較して75%。筋肉を強制的に硬直させ、自由が効かない中チンコを扱かれましょう」
「え……っ……嫌だっ……いや……怖い怖い………あーーーーー、やっいやだ…………いやだ」
ヒロヤはあまりの恐怖にパニックとなっていた。
「あ、あまり心拍数あげないで、苦しくなりますよ」
「いやだぁーーーー!!!、!あーーーーーー!!!!あーーーー!!!!ぎゃぁあああーーーー!!!!」
ヒロヤは何かが壊れたように暴れ出した。
ガシャガシャと手足の鎖が鳴る。
「ヒロヤさん、筋肉少ないし心肺機能も弱いし、なのにいうことを聞かないから、チンコやめて呼吸機能の限界調査にします。持てる筋力全てを使って呼吸してみたら体内で何が起こるか?」
体が小刻みに震え出した。
「……ひっ!!!あぐぅっ!!!ひっ!!!ひ!!!!ひぃっ!!!!ひっ!!!!ひっ!!!!!!」
ヒロヤは突然甲高い声でしゃくりあげるような呼吸に変わり、全身をバタバタと跳ねさせ始めた。
呼吸にかかわる神経に的確な刺激が与えられ、猛スピードで息を吸って、吐いて……を繰り返す。ヒロヤの筋肉を使い潰すための終わりのない負荷だ。
「ひぁひぁひぁひあ!!!はぁはぁひぁひぁひぁ!!!!ひぁひぁひぁっ!!!」
さらに呼吸は速くなり、強制的に上半身の呼吸筋が動員され肺がものすごい速度で伸縮する。何分も止まることなく続き、ガリガリの彼の身体に備わった筋肉はどんどん疲弊し、呼吸が大ぶりになって荒くなり、身体にも余裕がなくなっていく。
「呼吸筋を総動員して呼吸をしていますが、ここで息吐けなくします。」
「っはぁっ!!!はぁっ!!!!はっ!!!!………!!!!………!!!!」
息を吸い切ったところで、横隔膜や口周りの筋肉が硬直したようだ。
肺は膨らみ、薄い大胸筋が伸ばされて肋骨が丸見えの胸郭がはち切れんばかりに膨れている。
「上から超磁気波を照射。筋肉が浮いて見えます」
鳩尾には心臓の鼓動が透けて見える。
ペコペコと忙しなく動きつづけていた。
薄い大胸筋、6つに割れている薄い腹筋が皮膚の上に透けるように浮かび上がる。どうにか息を吐こうと、さまざまな筋肉がグニュグニュと収縮しているのが見えた。
「ほら同年代の男性の50%ほどしかない腹筋が見えますか?」
「綺麗なシックスパックですねぇ、大きさも揃ってる。だが、薄すぎて浮いて見えない」
「……殴ると」
っドゴォッ!!!!
どごっ!!!ばふっ!!!ばふっ!!!
腹がひしゃげ、腹筋が苦しそうに収縮する。
「っぶぅうううー!!!!ぶぅ!!!!ぐぉ!!!!がぁっ!!!があっ!!!!ぶぅっ!!!!」
ヒロヤは理性の抑制を失い、本来の獣のような叫び声で苦痛を表し始めた。
「いい声じゃないですか、低くて男らしい声だ。やっとあなたの身体、筋肉が足りてないことに気づいたようですよ。テストステロン値が上がってきている……」
「……ほら、股間がどんどん硬くなる。」
「ヒロヤさん…‥横隔膜が麻痺して吐きたいのに吐けない息って辛いですよね。太ももそんなに痙攣させないでくださいね。」
ヒロヤは顔を真っ赤にして目を見開き、あまりの苦痛に下半身は痙攣し、意識を失いかけていた。
「………っぶっ………ぐぅっ!!!くっ!!!!!っぐぅ!!!!もぐぅっ!!!!!」
貧弱な性器からは尿が飛び出し、辺りを汚していた。
太ももは細かく痙攣し始め、尿がそれに揺られてさまざまな方へ飛んでいく。
「仕方ない、戻します。磁気波もストップ」
そのまま5分ほど、呼吸音が響き渡っていた。
しかし徐々に衰弱し、呼吸したいのに体の筋肉が動かなくなっていた。
「ひ……ひぁ……………ひ………ひ………ひぁぁぁぁぁ!!!ひ………ひぁ…………ひ…………」
ヒロヤは今にも呼吸が止まりそうだった。1回1回の呼吸が全身全霊を込めたものだった。
体に力を入れ、首の筋肉を浮き立たせ、肩を上げ、必死に肺を膨らます。
「ヒロヤさん休憩です」
いいタイミングでアナウンスがあった。
ヒロヤの全身の筋肉に掛けられていた刺激がなくなり、呼吸も戻った。
「ここも見ておきましょうか」
支配人がそう言って、性器を握り、激しく上下に揺れる薄い大胸筋を愛撫し始めた。
「ひ………ひぁ…………ぁ…………はぁ……………はぁ…………はっ…………は…………」
「……はっ…………っあ!!!あ!!!あーー!!!!あっ!!!いくいくううううう」
落ち着きを取り戻したヒロヤは、疲労困憊で目を閉じながら、なぜかどんどん感度の高くなる股間に神経を集中していた。
「ダメダメ、ダメですよ、いったら」
支配人は笑って言った。
精液を出すまで刺激が続かなかった性器はヒクヒクと動きながら我慢汁だけをトロトロと出し続けている。
「……はい終わりです。ゆっくり休んでくださいね」
「……ぁあああーーいかせて……出したい………」
「……ねぇ………」
ヒロヤは汗だくになりながら、そして虚な目をしながら腰をバタンバタンと浮かせていた……。