タクヤが近寄ってきて、おれも。と言わんばかりに、半立ちになった自身の性器を指差した。
「首絞めは、もういいっす…マジで死にますよ…。普通のやつで勘弁してください。おれ、多分もう精子出せます!」
首絞め射精から少し時間が経ったため、回復したという。
「本当か?あんなに苦しんでいたのに…。」
「いや、大丈夫ですよ!俺めっちゃ鍛えてますから…。この体…筋肉…チンコ…全部もうバッチリです。やってください隊長。」
タクヤの体はボディビルダーのような肥大した筋肉ではなく、締まった水泳選手のような肩幅のある逆三角形のスリムだが厚みのある身体をしていた。
その股間についているのも、かなりの大きさだった。ツトムを含め、ここにいる隊員の誰よりも太く大きかった。
真っ直ぐツトムの目を見て話すタクヤに、ツトムはタクヤのここ1番の本気を見た。
ツトムは新呼吸し、タクヤの性器を前に膝立ちする格好となった。そして咥え、舌で敏感な所を刺激しはじめた。
「ぅうあー…。隊長、めちゃうまい…」
タクヤは、少しずつ性器を勃起させはじめた。
ツトムは様々な場所を舌の位置や吸う力を加減しながら責めた。タクヤは腰を折り曲げ、ときおりビクッと体に力が入る。
7人がいる水槽の中では、ただひたすらにピチャピチャと、ツトムの口のなかで性器が踊る音が響いている。
あっあっあっあっ…
次第にタクヤは徐々に快感の度合いが上昇し、よがる頻度が上がってきた。ツトムの力強いフェラチオがタクヤの性器に快楽を入力し続ける。
あーーーっあーーーーっ!そこダメぇーーーーーっ!っはっ…
タクヤはあまりの快感の強さに、身体が混乱を起こしていた。この快感をできるだけ長く感じていたい…とタクヤは思っていた。それほどまでに、気持ちが良かった。
その甘美な時間を裂くアナウンスが流れた。
「あと1分です。」
それをぼんやりした意識で聞いていたタクヤは、意味を理解した途端一瞬にして心臓を鷲掴みされた感覚を感じ、心拍数が跳ね上がった。
えっ…!あっ…
オロオロして何も考えられないタクヤ。ツトムも無我夢中でタクヤの性器をむさぼる。だが、タクヤの動揺は激しく、性器は徐々に萎えてきてしまった。
ツトムは絶望をかくしきれず、しまいにはタクヤの性器を咥えるのをやめてしまった。
「ああああ…。申し訳ありません隊長ー!俺が調子に乗ったせいです!代わりに俺が!…そうだ!おいこれを見てる奴!俺が替わりに受けるから隊長は!やめてくれ、頼む…」
「時間切れです。ペナルティー発動。」
無情な声が響く。
ツトムの心拍数は水槽の壁に表示してある。これからのさらなる拷問を予感したのか、すでに140を超えていた。
「頼む、やめてくれ!俺の精液ならいくらでもやる!キンタマも潰せッ!頼む…!」
しかし、ツトムの心臓の速さを示すその数値が徐々に、まるでダイアルを回したかのように徐々に上昇し出した。150…160…170…180…
「あっ…あっ…やめて……」
ドクンドクンと自分の耳に聞こえる鼓動は、自らが制御できないうちにどんどん速くなる。ツトムが体験したことのない速さで、しかも落ち着くことなく心臓が動き続ける。ツトムはなぜか股間がむず痒くなり始めていた。
「心臓…が…壊れそうだ…!やめてくれっ…」
「あっ!からだがっ!…おっお…オアァァ…」
あまりの恐怖と焦りから、ツトムの性器は勃起することなく射精を始めた。トロトロと、死ぬ間際の体の叫びが放出される。
「…いしき…が…頭がぼーっとしてきた…やめて…し…んぞうが…痛…い…」ツ
トムはか細い声を絞り出す。
人間の心拍数は、200を超えだすと安定した酸素供給ができなくなると言われている。日頃から鍛錬をつむツトムであっても、190程度がマックスのはずだった。それを超えると車のエンジンでいうところのレッドゾーンだ。時には壊れる事もある。
ツトムを外から見ていても、こめかみや首、割れた腹に浮き出始めた血管がはちきれそうに拍動している。性器もビクビクと揺れている。
「俺の体…ヒュー、どうなってるんだ…あ…ま…前が見えなくなってきた…。息…くるし…ヒュー、ヒュー…」「タクヤぁー、ヨシオぉー、いるのかー。見えないー…。」
「いますッ!」そう言って2人はツトムの元に近寄り、体を支えて肩を揺すった。
「…おーい、どこだぁー…近くにいないのか…。おれが守るん……だ。ヒュー…ヒュー…」
体感覚も失われ、ツトムの脳神経は機能停止に近づいていた。
実際にツトムの顔色は蒼白となりつつあり、両手で胸を押さえて口をすぼめ、苦しい呼吸をしている。あまりの高い血圧に、肺と心臓の血管系が機能障害を起こし始めた。そのため全身への血液循環が滞り始めている。
しかし、勃起していないツトムの性器からは断続的に精液が流れ出ている。
さらにツトムの心拍数があがる。190…200…210…
「アッ…アッ…ゲホ……ヒィーッ…ガッハッ…たす…け…ヒィーーーーッ!!!あっ。あっ。
もはや心臓は心房細動になる寸前だった。あまりに速い収縮により、本来の拍出運動ができず、もうただ動いているだけだった。
ツトムは冷や汗をダラダラとかいて、ついにはうずくまった。ほぼ血流が止まり、脳が必死に酸素をかき集めていた。止まりそうな呼吸が続き、見ている方も辛い有様だった。
たまりかねたタクヤが叫ぶ。「隊長!」
ツトムは口からよだれを垂らし、目は虚で正気を失った顔でただ必死に上半身でガーガーと音を立てて呼吸を続けている。ツトムの体は猛烈な鼓動により振動し、湯気が出ている。しかし体幹の末梢は冷たく、ショックに陥っていた。もう意識があるのかないのかも分からない。
「ウ…アア…」
「あぁあ…俺のせいで…申し訳ありませんッ!!」タクヤはいまにも泣きそうな顔で、ツトムに詫びた。だが、返事はない。いつもの優しい声で許してくれる隊長は、いなかった。
さらに心拍数が跳ね上がる。250…260…270…290…330…
「…」
ツトムの性器からは射精こそ止まったものの尿があふれだした。失禁しはじめたようだ。ゴロンと仰向けに倒れたツトムの意識はなく、いよいよ顔は真っ白となり、唇はチアノーゼがでて青く変色していた。
隊員たちの精液にまみれた、鍛えられた肉体の真ん中にあるツトムの心臓は、そのばでドクンドクンと見たこともない速さで鼓動している。
トレーニングをした強靭な心筋の持ち主だからこそ、まだ心停止に至らず心臓を動かせている。
だが。本質的には心臓が無秩序な強大な痙攣を起こしており、心停止と同義だった。そして、ツトムはもう呼吸をしていなかった。
そしてある時心拍数が急激に下がり、100を切った。80…40…20…そこからは早く、転げ落ちるように心肺機能は喪失していった。ツトムに浴びせられ続ける心臓への強烈な拷問は、死に向かう体が受け付けなくなっていた。心拍の振り幅は大きく上下しながら、しかし確実に数値上も心停止に向かっていった。
「隊長死ぬなぁーーっ!」
泣きながらタクヤは心臓マッサージを始める。
タクヤ、いいか。みぞおちより少し左を、分間80の速さで数センチ沈み込むくらいの強さで圧迫するんだ。俺やお前みたいな筋肉が付いている人間はもう少し強く、な。
タクヤは昔、そうツトムに教えられていた。それを今、思い出しながらツトムの身体で実践していた。
「死なないで…もっと俺たちといてくださいっ!いやだぁーーーーー!」
タクヤは泣き叫びながら、心臓マッサージを続ける。ツトムはマッサージの圧迫に体を委ね、静かに横たわっている。心拍数は0から40付近の数値を目まぐるしく表示していた。
その時。
水槽が置いてある部屋のドアが開き、数名の人間がこちらにやってきた。
…隊員たちは死を覚悟した。
「お前たち!助けに来た!おそくなってすまないっ!」
仲間だ…!隊員7人はその場で全員救出され、すぐに手当てを受けることができた。
そして5年後…
一枚の写真が机の上にあった。そこには、7人全員の笑顔と、彼らの子供達の姿があった。