ある銭湯で、俺はとある男と出会った。
「あの…すみません」
それは30歳手前くらいの185センチほどある長身で、細身ながらも締まった筋肉がついた体格の男だった。
だが覇気がなく、無精髭が伸びており声に元気もなかった。
「は、はぁ。なにか?」
俺は少し警戒して聞いた。
威圧的ではないが、何か隠してるような気がしていた。
「俺、お金なくて……。もう3日も食べてなくて……。お兄さん、俺いらないですか」
「えっ?」
俺は固まった。何を言ってるんだろう?
「見ての通り、生まれつき筋肉質でこの身体なんです。鍛えてなくても勝手に。お兄さん、俺の身体チラチラ見てたから、もしかして……と思って。」
「1日、俺の身体好きにしていいんで、5万円……いや3万円……どうっすか。」
「いや、何言ってるかわからないんですが」
俺はうわずった声でそう言った。内心は……。
「タオルで隠してるけど、チンコギンギンになってますよね?身体好きにしていいっていうのは、俺の筋肉もチンコもなんでも。身体縛ってもいいし何でもいいです!骨折るとかは勘弁ですけど。」
男に見透かされていたようだ。
確かに、俺は、この男の均整の取れた肉体と、左右対称に配置されたシックスパックを殴った時の苦悶の声を想像していた。
俺が固まっていると、さらに男は続けた。
「俺わかるんですよ。たぶんお兄さん、俺の腹筋殴りたいですよね?手足とか縛って、腹だけ出させて……という感じで。」
「いいっすよ。腹筋……触ります?ふふふふ」
男はそう言うと、腹筋に力をこめて6つに割れた……というよりパンパンに膨れ上がったそれを強調し、俺の目の前に見せつけてきた。
俺は手を伸ばして触ろうとした。アレはもう完全にたっていたがお構いなしだ。
男は俺の手をつかみ、大胸筋に当てた。
「おっと。腹はその時に……。夜行きますから。待ち合わせしましょ、海袋駅で。……あ、でも俺、こう言うことは初めてで。こんな身体だから、狙われてることはよくあって下心はよく読めるんですけどね。勃たなかったらごめんなさい。たつまでがんばります」
「あ……でもまずメシ……ご飯食べたいです」
にこやかな顔で、男はそう言った。
「はっはい。じゃ、19時に南口で」
俺はそう言うしかなかった。
入ったところだったが、すぐに出て着替えた。
「あーあ、おれも変なことになったなぁ。困ってるみたいだし、適当にやって帰ったほうがいいか」
独りごちながら、海袋駅ちかくのビルで時間を潰すことにした。
19時になった。南口に向かうと、黒いTシャツに短パンの男が待っていた。
目がすぐにあい、声をかけられた。
「あ、すみません。」
「……あ。」
「ごめんなさい。お腹が減りすぎてやばいっす……なんでもいいんで……」
「じゃ、ラーメンでもいいですか?」
「えっ、はい!!!」
2人は近くのラーメン屋に入った。男はたらふく食べ、3杯も食べた。
「ごちそうさまでした……。約束通り、俺の身体どうぞ。どこかいくとこあります?」
男が聞いた。
「うーん……俺んちでいいかな……。ここからすぐだからさ」
「はい」
2人は家に向かった。1DKでそこまで広くはないが、綺麗に整理された部屋だった。
天井に梁が見えているデザイナーズマンションの類だ。もちろんこの梁は構造も強固で、多少ならびくともしない。
「きれいですね。すみません、名前聞くの忘れてた。なんて呼べばよいですか」
「あ、そうだな。山田で。よろしく」
「山田さん、改めて。お世話になります。俺は坂野っていいます。さっそくですが、何したらいいですか?さっきはなんでもやって下さいって言ったけど、やっぱりケツにイクのは……勘弁してほしいです」
「んーー。そんなことしないよ!でも、ほんとにする?なんかちょっと……ほんとにいいのかなって思ってます」
俺はやはり気になったので聞いた。
「いや、やってもらわないと俺、生きてけないんで。頼みます……ほんとに」
「脱ぎますね、俺の身体、全部見てください。」
男はそう言って脱ぎ始めた。
「おれ、今日もらうお金で実家帰って、実家の家業継ごうかなって思ってて。」
「へぇ……家業って?」
「……建築系ですね。俺筋肉つきやすくて力もあるし、向いてるのは向いてるんです。昔から手伝ってたんで」
「そっか………。」
「だから、山田さんに俺の身体で満足してもらわないとダメなんです。なんでもします。」
「後悔しないよね?坂野さん……だっけ、お金だけ渡してもいいよ、出世払い。」
「いや、俺、山田さんの顔ドンピシャで好きなんですよ。普段は全く男に興味なんてなかったのに、山田さんは別ですね。銭湯の時に見た時から一目惚れってやつですかね?運命かな?……だから、今日楽しみなんです。」
「俺も金手に入るし、山田さんも筋肉好きだし。いいでしょ」
「分かったよ、そこまで言うなら。じゃ、ちょっとだけやらせてもらえる?2人ともさ、裸になって、やろう」
2人は無言で服を脱いだ。
坂野の身体はやはりすごかった。厚みはそこまでないのだが、バランスが秀逸だった。
「喉乾いてない?お茶しかないけど」
俺はコップにお茶を入れた。
「あ、ありがとうございます」
「ぷはぁー。冷たくっておいしい。」
「じゃ、さっそくだけど、腹……お願い。もう俺その筋肉見てるだけで……ごめん、イキそ」
恥ずかしかったけど本当のことを言った。
坂野は笑った。
「そうですよね、そんなチンコ勃たせてる人、生まれて初めて見ました。えっと、俺どうしたらいいですか?」
「そこ、梁があるでしょ天井。そこに両手縛って、腹筋をダラーンと。いくね」
「チンコも勃ってるじゃん?精液結構出るの?」
「え、まぁそうですね。寝そべってしこってたら顔まで飛ぶくらいかな」
「そりゃすごい……さすが筋肉あるからか」
俺は、そんな話をしながら手早く手首を縛った。痛くないようにハンドタオルをあてる。
梁は低い位置にあり、足は普通につくようになっている。
坂野の大胸筋は肩の三角筋を頂点として菱形になり、腹筋も引っ張られて平べったくなっている。
「山田さん、なんか俺、手を縛られてる……からかな……息が上がる……あと股間がずっとムズムズしてて、イキそうな感じ……」
「え?」
白々しく、俺は坂野の胸を両手で触る。
「確かに呼吸速くなってるし……緊張してるのかな?」
「はっ……はぁ……はっ…………。」
坂野がおかしくなった。
当然だ。このお茶には快楽神経を興奮させ、ヘモグロビンの酸素運搬力を一時的に大幅ダウンさせる特殊な薬を仕込んでいた。
坂野は次第に口を大きく開け、呼吸が速く深くなっていく。
このお茶を飲むと酸素が足りなくなり、心拍が上がり呼吸が激しくなるのだ。
そして、この薬は5分で効果がなくなる。
どこにも痕跡を残さず、ただひたすらに呼吸苦を味わいながらも快楽に飲み込まれるのだ。
「はぁ……はぁ………はあ!!!はっ!!!はぁっ!!!はあ………」
「ドックーン!!!ドックーン!!!って………はぁ……心臓が………飛び出そう………はぁ……はぁ………」
坂野の腹が何度も伸縮する。
俺は、坂野の割れてる腹筋を触りながら数を数えた。
1、2、3……………
近くで見る腹筋は美しかった。ハァハァと必死になって呼吸している肉体は忙しなく筋肉が躍動し、ガス交換し、全身に血液を送るためだけに筋肉が動員されているようだ。
勃起をやめない股間からはわずかにイカのような香りが漂っていた。
「ぜひっ!!!ひぃっ!!!ぜっぜっぜぇっ!!!!はっ!!!はぁ!!!!ひぁ!!!!!ぜぇ!!!!」
坂野の呼吸はますます激しくなり、胸郭全体が激しく伸縮する。
「やっやまっ!!だ!!、さんっ!!!俺苦しいっ!!!なんか………した!!!?はぁ!!!ひぁ!!!ぜぇっ!!!!」
ぜぇぜぇと喉を鳴らし、次第に腹式呼吸から胸式呼吸へと変わり、胸を突き出して首の筋肉を浮きあがらせ、懸命に肺を膨らませ始めた。
俺は坂野の胸に手を当てた。分厚い筋肉が苦しそうに手足をバタつかせているためか、ピクピクと筋繊維の存在が伝わる。
大胸筋の縁、腹筋の区画……すべてが手にとるように伝わってくる。
「……心拍200ってとこか。日頃運動してそうだからかなら跳ね上がってるな。呼吸も60回……人間の限界に近い……」
俺は1人で呟いた。
「ばひぃっ!!!あひっ!!!くっ!!、るし!!!やめてぇ!!あひ!!!はっ!!!ぜっ!!ぜぇっ!!!」
坂野は息も絶え絶えに訴えかけてきた。
「なんのことかな。苦しそうだね……。ああー綺麗なシックスパック!腹筋伸びてるから、上の方にパンチすると…………」
ばちっ!!!
「おごぉおおおお!!!ぉぉぉぁおおごっおおごっげっ!!ばあっ!!ひっ!!あっ!!!ぜぇっぜえ!!!」
ばちっ!!ばちっ!!!
「おっおぶ………っごぉ!!ごっ!!!かっ!!!!かっ!!!き!!!」
獣のような声で叫び、腹筋を必死に硬くしようと背を丸めようとする。だが両手は伸びきっており足も伸びているため、腹は突き出している体勢から大きく変えることはできない。
呼吸も苦しく、耐えるにも耐えられないようだ。
腹はグルルル……と音を立てて内臓は混乱していた。
「呼吸止めてみようか、そしたらもっと腹筋動くかも。」
坂野は、足をバタバタしながら、ぁーー!!と嫌そうな声でうめいた。
「苦しいからヤダ?」
坂野は首を縦に何度も振る。
俺は、坂野の口を塞いだ。
「うぐぅヴうーーー!!!!うぐゔうううううーーー!!!!」
ブビィっ!!!ブゥっ!!!ブピッ!!!
手の隙間から必死に酸素を吸い、顔を真っ赤にして目に涙を溜め、こめかみに青い血管を浮き上がらせている。
首の筋肉が息を吸う時にブルブル震え、口を大きく開け、恥も何もかも捨てて呼吸だけを夢中で維持しようとする。
「今射精してみてよ」
「俺の身体に、坂野さんの持ってる精液全部かけて」
俺はそういって、口から手を離して坂野の目の前に立った。
俺の勃起してるチンコが、坂野のチンコに当たった。
「ほら、そのチンコ使ってよ」
俺は、坂野の大胸筋に付着している乳首を摘み、そして指先で縁を描くように触った。
「ぜぇ!!ぜぇ!!!ひ!!!はあっ!!!はぁ!!!!ひ!!!!ぜ!!!!っはぁ!!!」
坂野は疲れ果てた顔で、上半身の筋肉に渾身のを込め、乾いた唇を大きく開けて呼吸をしていた。
それでも、どうにか射精させようとして腰を振りながらチンコをピクピクとさせていた。
そうしていると……
ぴちゃ、ぴちゃっ!!びちゃ!!びちゃ!!!!
坂野の股間……勃起したままのそれから白いものが出てきた。
恐怖と息苦しさと、お茶に混ぜられた薬の影響で射精反応が起きたのだろう。
しかし坂野の身体はもう限界を迎えているようだった。
腹筋が痙攣し始めていた。
6個に割れたそれは、ヒクヒクと引き攣るようになっていたのだ。
「おぉおお!!イッてる!!すげぇ!!!」
俺は驚いた。でも、その勢いは弱く、2センチほど飛んだだけで俺の身体には掛からなかった。
「でも残念……さっきすごい飛ぶって言ってたのに。息苦しすぎて筋力なくなったのかな………俺の身体にかからなかった……。………なあァッッッ!!!!!」
ドッボォオオオッ!!!
ドボ!ドボぉぉおおおおーーー!!!
坂野の弱った腹筋に、3回ほど体重を乗せたパンチを打った。
肋骨から綺麗に伸びて硬くならなくなった腹筋の真ん中が大きく凹み、身体がしなる。
その度に、チンコがビンっ!と硬くなった。
「がっはあっ!!!がっはっ!!はあっ!!!はっ!!!!っごぽっごほっ!!はぁ!!!はあっ!!はあっ!!!」
吐き気を抑えるのと呼吸で、腹筋は目まぐるしくその形を変えている。
しかし身体中の筋肉は疲弊し、脚を支える太腿がプルプルと痙攣し始めていた。
俺は無抵抗な坂野の腰に抱きつき、ゼェゼェと音を立てて激しく伸縮する肉体……すなわち筋肉の厚みを感じて興奮していた。
身体全体がドクドクと脈動している。
腹筋を触り、6個に割れた区画を軽く押す。
大胸筋を上から強く押して筋繊維の束を感じる。
吊り上げられた上腕二頭筋を掴み、コリコリと筋肉を潰す。
腹筋と脇腹の境目を、執拗に殴る……。
「ぐっぱぁっ!!!ごぼっ!!っはあ!!はあ!!!はあ!!!おぇっ」
坂野は突然嘔吐し、さらに呼吸が乱れる。
「もうやめてほしい?死にそう?坂野さん」
「はぃいいっ!!!」
坂野は呂律の回らない口で食い気味に叫ぶ。
「じゃ、これで最後」
そう言って、おれは坂野の12センチほどの小ぶりな勃起したままのチンコを握り、しごいた。
数回しごくと、早くもトクントクンと付け根が反応し始め、そのまま夥しい量の射精が始まった。
「あー、坂野さんこう言うの好きなんだね……お金は払うからまたやってほしいな」
坂野は白目を剥いてぎこちなく腰を振っていた。
俺は、彼のチンコを扱き続けた。
「……はっあ!!はあっ!!!ひゃあっ!!!ひぁっ!!はあっ!!!ひあっ!!!」
「……がっ………っきっ………」
汗だくになった坂野は、その後1〜2分ほど悶え、その後ようやく手首を解かれ解放された。
苦しの効果も程なく切れ、彼の体内はようやく落ち着きを取り戻した。
3万円を手にした坂野は、青い顔をして服を着て、部屋から無言のままヨタヨタと逃げるように帰っていった。
だが、翌週、仕事帰りに海袋駅の南口で1人の筋肉質の男が、よく見るとさらに薄汚れた身なりで股間に小さな膨らみを作りながら………山田を待っていた……。
「あっ……山田さん……俺の身体もっと壊していいから、5万円……ちょうだい……」
「次は……何したら金くれる?!」
「あっそうだっ!あの薬2倍にして!そしたらもっと腹筋動くし、心臓も速くなる!チンコも山田さんの好きなようになる!」
……心の壊れた坂野が、そこにいた。
俺は、その坂野を家に連れて帰って休ませた。
俺は、その甲斐あって元気になり仕事もうまくいってきた坂野の身体をほしいままにし、坂野も俺の身体をほしいままにした……。