それから、1週間が経過した。
身体を酷いほどに痛めつけられた原は壮絶な治療を経て何とか回復し、形だけは少なくとも元の業務に戻っていた。
シンジは、今日が評価の日だった。
原は、隣の席で言葉少なに時間を待つシンジに尋ねた。
「おれ、あのあと腹筋ぐちゃぐちゃになってさ、入院したんだよ。知ってると思うけど。呼吸しようとしても吸えないんだよ。体が重くて、肺が鉛みたいでさ。」
「あまりにも苦しくて、もうこのまま首絞めて毒でも盛って殺して……って叫びながら、病院のベッドでのたうち回ったんだよ。」
「……まぁその時に面倒見てくれたのが、シンジだったんだけどな。それには、感謝してる。」
そう言って、自身の腹筋に力を入れながらシンジの手を重ね、僅かに割れている腹筋を触らせた。
「こんなふうに腹筋もバキバキじゃなかったし、筋肉を鍛えてなかった俺が、悪いんだよ」
顔色の悪いシンジは、力なく答えた。
「いや、ちがう。すまなかったな」
「俺に、何ができるかな」
原は少し考えて、答えた。
「たしか今日だろ。あの日。……何されるかは知らないけど、その鍛えてる筋肉ガチガチに緊張させながらの悲鳴くらいは………ききたいかもな」
「わかった、何かあったら俺のこの身体はお前に預けるわ」
シンジはそう言った。
少し間を開けて、ツトムが聞いた。
「なぁ、シンジ。その身体、鏡で見たりするのか?」
「……あぁ。最近は腹筋もバキバキに割れて血管浮き出るほどに絞れてきたから、自分の体に勃起して、何回かオナった事もある」
「そうなのか……。大きいのか?サイズって。」
「……17センチくらいか……。この前営業先で、これに電気流されて強制的に射精させられた時はマジ痛かった……。腹筋が勝手に固まって息できなくて苦しかったし。声も出なくて必死で息吸ってなんとか耐えたけど。まあ、あっちの担当も夢中でシコってビューって出してたけどな。大きな受注取れたからいいんだけど……って、もう時間が来たな、行ってくる。」
シンジは、硬い表情で会議室に向かう。
道中、シンジの心臓は口から飛び出そうになっていた。
膝も震えている。
廊下を歩けているのが不思議だった。
会議室407号の前に立った。
深呼吸して、覚悟を決める。
……ガチャ。失礼します……
扉を開ける。
「田中シンジくん。」
男がいきなり聞いてくる。
見かけない顔だった。
「……はい」
「見たところ鍛えてるようだけど、何なら耐えられる?」
唐突に尋ねられる。
「………」
「……えっ……と………」
心臓が掴まれるような衝撃を受け、血の気が引く。
「早く答えて。どうなの?」
男はシンジに詰め寄ってきた。
「その鍛えた肉体をどう痛めつけられたいかと、聞いている」
「は、はい!!……でも……うう………」
「……遅いっ!」
男は一喝し、シンジの身体を一瞥した。
「……そうだな。大腿筋を限界まで酷使することにしよう。さあ、そこに、座れ。」
部屋の真ん中にあるベンチに座らされた。
「………はい………」
シンジはてっきり、自身の4つに割れた腹筋を殴られ、責められると思っていたようだ。
だが、言われたのは太ももの筋肉だった。
「これを太ももにつけて。あと、うらのハムストリングスにもだ。」
「これは、尻だ。さあつけろ。」
スーツの中に震える手をいれて、センサーのようなものを皮膚に張り付けていく。
シンジの体につけられた3種類のセンサーは、筋肉を強制的に動かすものと、その活動を波形化するものだった。
そして、その信号をもとに血液循環の速さ、すなわち心拍数も取得されていた。
今は、150を示している。胸が爆発するほど恐怖と緊張が支配しているようだ。
「さて。では、太ももの筋肉だけを使って、そのベンチにただ座ったり立ったりを繰り返すだけだ。」
「そのたくましく筋肉が詰まった脚だと余裕だろうな?なぁに、たった500回だ」
「ご………500回…………」
シンジはあまりの回数に言葉を失った。
「心配するな、そのセンサーにより自動的に筋肉への操作は行われるから、君はただ待っているだけで良い。」
「だが、筋肉が疲労で動かなくなると、射精用の神経を刺激し、脳内麻薬を分泌させる。そしてさらに強い刺激を与えても苦痛を感じにくくした上で、残存している筋肉繊維を稼働させて継続する。それを何度もくり返していくだけだ。」
「これをやらされた男たちは、必死に呼吸を繰り返しながら膝をガクガク震わせ、精液ぶちまけながら、スクワットのような動きを繰り返す。……前やった男をみてみるかね。」
「………」
シンジは呆然と前を見つめていた。
だが、否応なしに何かの動画を見せられる。
そこには、細身でありながらも筋肉質な全裸の35くらいの男が座っていた。
何度も立ったり座ったりを不自然に繰り返し、汗を流しハァハァと荒い呼吸をしていた。
何度も同じ動作を繰り返し、動画再生されてから数えて30回ほど経った頃だろうか。
呼吸がますます激しくなり、フゥ!フゥ!と音を立てはじめた。そして次第に口を大きく開けてハァハァと早く荒い呼吸にかわった。
男は涎を垂らし、立とうとする際にやや毛深い太ももにもはや力が入らず、膝を中心として太ももが左右に振れ、ガクガク痙攣していた。
ハッ!!ハッ!!ゼェゼェっ!!!ぁあ!!
はあはあはあはあはあはあはあはあ!!!!!
そして男は必死に呼吸を繰り返していた。
時折水のように激しく性器から白濁液が飛び出した。
「ぉあああぎゃあああああーー」
「ぁああああああーーーー!!!!」
その度に男は叫び、太ももの筋肉はさらに強いレベルで酷使され、筋肉の収縮が一段と強さを増した。
「………ぁああ………讃岐部長……」
シンジはため息を漏らす。
182cmの高身長なうえに均整の取れた肉体が自慢で、クライアントからも絶大な支持を得ている部長だった。
それが、こんな苦しそうな顔をしてうめきながら勃起していない性器をさらし、射精している。
下半身の筋肉はもう限界に近づき、フラフラと脚を揺らし始め、上半身を起こす速度がどんどん遅くなる。
全身の筋肉を使って呼吸し続けている讃岐は、呼吸するたびに痙攣し続ける8個に割れた腹筋を浮かび上がらせながら、ただひたすらに空気を求めていた。
「……田中くん。どうだ。讃岐くんでこの苦しみようだ。君の肉体をせいぜいアピールしてくれ。ちなみにこの時は讃岐の射精は5回だったかな。その度に筋繊維が強く刺激されるんだ。なかなか濃い精液だったぞ………まぁ関係ないがな。」
「筋肉が全部切れて動けなくなって終わった後は、もうその場で崩れ落ちてな。太腿はひとりでにブルブル震えているし、帰れと言っても全然立てないんだよ。小鹿みたいにな。」
「結局、這って帰って行ったよ。腕の力だけでな。」
ほら、そこの床にしみがあるだろう。
あれは、漏れた精液だ。チンコを床に擦り付けながら移動したからな。いや、涙かな?ふっはははは………
さて、君もやってもらおうか。
……そうだな。スイッチは、君がボコボコにしたあの社員に管理させようか。
原くん、こっちに。
そう男が言うと、原が部屋に入ってきた。
全裸だった。
シンジと比べると細くて華奢な身体。だがうっすらと割れている腹筋と首は青黒く変色し、痛々しい。
性器はビンビンに勃起していた。
「ツ、ツトム………腹……首もか……」
「俺は……やはりひどいことをしてしまった」
「シンジ。もういいんだ。君には感謝してるんだ。だけど、ここでシンジの筋肉がブチブチ切れて身体が壊れていくのをみたい。そのボコボコの腹筋も、ね」
「見なよ。このチンコを。シンジのその筋肉が動かなくなって悶えているのを想像するだけで、こうなったんだぜ。3日出してないんだよ。早く出したくてウズウズしてる。な、期待に応えろよな」
「…………」
シンジは何も言えなかった。仕方がなかった。それだけのことをしたのだ。
一呼吸置いて話し出した。
「おれの筋肉、全部預ける。すきにしてくれ」
「いくぞ」
ツトムは静かにつぶやいた。
「……う……」
シンジはうめき声を上げた。
意思に反して筋肉が動く、とても奇妙な感覚を覚えていた。
ガタゴトと音を立てながら、シンジはぎこちなくベンチから立ったり座ったりを繰り返し始めた。
太ももの筋肉が、定期的に収縮している。
シンジの心拍は100からスタートしたが、10回おきに10ずつ上がっていく。
はぁーー!!はぁーーー!!
はあーーー!!はあーーーー!!!
シンジは口を大きく開けて呼吸する。
(苦しい!!筋肉がだるくて痛くなってきた……息が上がる……)
筋肉が貯めていた予備力を急速に使う。急激にエネルギーが枯渇し、酸素が足りなくなってきた。
シンジが聞く。
「……はぁはぁ………!!いま何回?!………はーっ!!はっ!はっはぁはぁはあ!!」
78回。
ツトムは淡々と答えた。
「そんな呼吸乱れてたら500回できないぞ……」
「讃岐さんは150回で終わりだった。シンジは何回かな。」
ヒィヒィと喉を鳴らして必死に息を吸う。
だが、太ももは細かく震えて筋肉のカットを浮かび上がらせ、血管をうき立たせるだけだった。
「なぁシンジ、このまま150回も無理だろ。いまから100回に減らすための選択肢をやるから、どれがいいか決めてくれ。」
ツトムは表情を変えずに言った。
「まずは、全裸になって筋肉と性器を見せてくれるか。」
「そして、次。おれはシンジの心音の限界を聞きたい。心拍数が一回たりとも200を下回らないようにするんだ。心臓は疲弊しきってしまうけど。」
「最後は簡単。勃起しないこと。そうそう、尻についてる奴は勃起させずに射精だけ起こさせるんだ。」
さあ、どうする?
激しい呼吸の中、シンジは答えた。
「ぜぇーーゼェーーー………ぜぇーーー………ぜんぶ………だ………」
「スーツ………脱がすか……やぶって……」
「……はぉっ!!はっ!!!ぜぇ………ええーー……おれの……心拍……どうだ」
185だよ。まだ、足りない。
ツトムが答えた。
スーツはビリビリに破かれ、たくましい太ももが現れた。
筋繊維には血管が浮き始め、筋肉は震えながら必死に動いていた。
「シンジ、やるぞ。俺が満足したら、そこで終わりだ」
そういってツトムはシンジのスーツを破り、パンツも破って全裸にさせた。
汗だくとなった身体は艶々に光り、体に纏う筋肉を強調させた。
「まずは、心臓からな。速さ2倍だ」
動きが鈍った筋肉は突如刺激速度が倍化した。
動作の慣性から身体を支えられず、前後に揺れ始める。
「あっ………ぁぁぁあ!!!!っはあ!!はっ!!!はっ!!!!はーーはーー!!!はぁーーーはっはっ」
休みなく筋肉が動かされ、さらに痙攣が激しくなる。もうほとんど太ももを伸ばしながら腰を浮かせて立ち上がれなくなっている。
数センチ動いて、プルプルしているだけだ。
「はぁ!!はあ!!!はっ……っはぁっ!!はあ!!はあ!!!」
シンジの心拍はみるみる上がり、201を表示した。
飛躍的に酸素の消費速度が上がっている。
「よし!このままだ。もっと息して太ももに酸素送れよ」
シンジは目を見開き、涎を垂らして呼吸する。
肋骨が大きく動き、筋肉が激しく躍動する。
「……その筋肉たまらんな。ちょっと、呼吸止めよっか」
原はそういうと、シンジの口を手のひらで覆った。
「フガァ!!!ブボォ!!!ポォ!!!ぷぴぃっ!!ピィ!!!ブポォ」
シンジの心拍は220を超えた。
太い一本の血管が浮き出た腕が、ツトムの手を口から必死になって外そうとする。
引き続き太ももは否応なく動かされており、胸の筋肉や腹がうごめき、そして酸素を求める。
シンジは顔を真っ赤にし、頬を膨らませたりしぼめたりしながら呼吸を確保しようとしていた。
太ももはさらに痙攣が激しくなり、小刻みに全身を揺らす。
「プシューーーーウ!!!プシューーーー!!!!プシュッ!!!ズポォ!!!ボッ!!プシューーー!!!」
わずかな隙間から激しい音を立てる。
心拍は215を行ったり来たりしていた。
まだ足らないな、とツトムはつぶやく。
だが、シンジの年齢から逆算した最大心拍数は190前後だ。
とうに、心臓は限界を超えていた。
それから10秒もすると、シンジの意識が徐々に薄くなり始めていく。
筋肉が動かなくなっていく。
心拍も200を下回り始めた。
だが、呼吸は未だ力強く続けようとしている。
だんだんと動かなくなる筋肉を目一杯使い、首の筋肉、鼻、肩を使って肋骨を膨らませていた。
「もうダメか。俺の心臓は、230まで動かされたのにな……」
ツトムは白目を剥いて身体中から汗を吹き出し、血管が浮き出て葉っぱのようになっている太ももを激しく震わすシンジに話しかけた。
……まぁいいだろう。俺もイキそうだ
太ももはそろそろ筋肉が切れそうだな。
両足の筋肉が切れたら、捨てるか………
ツトムは性器から我慢汁を滴らせながら、そう考えていた。
シンジは呼吸を許された。
手を離され、口が自由になる。
すぐに激しい呼吸が戻った。
だが、下半身の筋肉はもう震えるだけで、今の状態では体を1ミリも持ち上げることはできなくなっていた。
ゼェゼェと煩く呼吸を続けている。
「さてあとは勃起しないようにするだけだよな」
ツトムはそう言って、シンジの腹に手を当てた。
汗でまみれ、太ももの痙攣が伝わって小刻みに動いていた。
ボゴォ!!!
「ぐっ………はぁああああーーー!!っおぇっ!!はあっはあっ!!がはあ……はっ……ゲホッ」
シンジの腹筋はめり込み、呼吸が乱れた。
分厚い筋繊維が、今更ながらピクピクと動く。
ドゴ!ドゴ!!!
「おぶ………ブォ!!!がっはぁあーーー………………ヒョォ………ォォォ!!!!」
シンジは呼吸のコントロールを失い、突如として吐くことが出来なくなった。息を大きく吸ったまま、身体が止まった。
肺が膨らんだままで、無防備な鳩尾がへこんでいた。
心拍は再び200を超えている。
肺が膨らみ、腹筋は息を吐こうとペコペコと凹む。だが、口からは何も出ない状態が続いた。
ツトムはにやっとわらいながら、手元にあるスイッチを押した。
ポチ。
「………プシューーーー………がっ………がっら………ば………が………ぜぇエエエエエエエーー」
シンジの性器から、夥しい量の精液が垂れる。
太ももは一時的に動き始め、体を揺らしながら伸縮を3回ほど行っていた。
あたり一面に青臭い匂いがふりまかれた。
「クセェよ、シンジ。いっつも一人でこんな濃い精液出してたのか?」
「心拍は、207か。血圧も下がってきたし、そろそろ心臓も限界だ。ドクドク自分でも聞こえるだろ?いつ止まってもおかしくないほど、働いてるぞ」
「……がっ………ぜっ…………ブボォ!!!」
シンジは、機能が破壊されたかのような呼吸を繰り返していた。
太ももはもはやピクピクもせず、ただ赤く腫れてパンパンになっていた。血管が全体に浮き出てグロテスクだ。
そしてしばらくそのままにしていた。
そのときシンジが息を大きく吐き、首を後ろにもたげた。
心拍は400を超えた。心臓が無秩序に動き、実質停止していた。
目を見開きながら、顔を真っ青にして口を開けていた。
「シンジ、死にそうじゃん。まだ筋肉全部潰してないのに、その腹筋も、大胸筋も。背中も無傷だ。」
「仕方ないから、俺のチンコ咥えて精液飲み干してくれるか」
そういいながら、シンジの口に今にもはち切れそうな性器をぶち込み、2‥3回乱暴に腰を振った後、いくっ……と小さな声でうめいた。
大量の精液がシンジの口から溢れ出ていた。
シンジは、ほどなくして拷問から解放され、ICUに収容された。
太ももは青く出血し、筋肉繊維は残らず破壊されていた。
それから3ヶ月後、まだ社内にシンジの姿を見たものはいなかった……。