「うぶぅ………かっは………はなせよ……」
頭上で両手を鎖で繋がれ、足は地面についた状態の20代の男が呻く。
上半身だけ裸で、ジーパンをはいていた。
いかにも普通の若者で、スポーツマン体型でもなく腹筋も割れていなかった。
「もう一度聞くぞ、貴様……何を知ったのだ?」
サングラスをかけたいかつい白髪の男が若い男に優しく問いかける。だが何度か聞いているが若い男は冗談で返してくる為、イライラが高まっていた。
「へへっ……いわねぇよ。てか、もう既に情報は展開済みだからな。オマエもここまで…………あがぁ!!!!」
バチーーーーーーンッ!!
若い男が話している最中、鎖でできたムチが身体をしたたかに打った。
「貴様、生かしておけん。ここでミンチにしてやるッ!」
白髪の男は我慢していた怒りが噴出し、ワナワナと震えながら静かに話す。
もともとこの男は対立中のある組織の一員。
穏便に済ませたかったがそうはいかなくなった。
「グギィ………ハァハァハァ!!!……いてぇー……」
若い男の腹には大きな裂傷が出来た。
血が滲んだ箇所の周囲は紫色に変色していた。
「いてぇ……助けてくれよ……。もういいだろ……へへへ。冗談はやめてくれよ……」
「ちょっと遊んだだけじゃないか……あれごときで何を……」
「クソガキガァーーーー!!!!あの情報を手に入れるためにどんだけ苦労したと思っとる!!」
3回ほど連続で、ヘラヘラとしたまま状況が飲み込めていない若い男の腹に鎖がしなり皮膚を裂く。
「あーーーーぎゃぁあああああ!!!!おぁああああーーーっ!!!」
若い男が打たれるたびに叫ぶ。想像以上の痛みだったのだろう。余裕が顔から消え失せて苦悶の表情に変わっていく。
「お前の悲鳴は耳障りだ、ガキが……。おれをこんなにイラつかせたやつは久しぶりだ。地獄より苦しいプレゼントをやるよ。」
白髪の男は目を真っ赤にして声を震わせて話す。
「おい。あの拷問器具もってこい」
「はいっ」
白髪の男は取り巻きの子分に命令し、鉤爪を引っ掛けてハンドルを回し、その力で中をこじ開けるような装置を持ってきた。
「おいおい………なんだよそれ?まさか俺に?」
「そうだ。貴様の腹をこれで裂いてやる。内臓ごと綺麗にしてやるよ。人間、内臓がなくても数分は生きれるぞ。綺麗に洗ってやるから貴様の腹黒さもなくなるだろうな。」
「………な!!やめろよ!おい……」
「謝るよ。生意気言って悪かったよ………」
「………頼むよ。おれもこんなことになるなんて思ってなかったんだよ……知らなかったんだ」
「ふん。もう遅いわ。………持ってきたか。つけろ。」
暴れる若い男を押さえつけ、腹に装置をセットする。手元のハンドルを回すことで、爪がついた万力の先は逆方向に広がっていく。
「よし、腹が裂けるまで回せ」
ゴリゴリと音を立てて、ハンドルが回されていく。
「ぎゃぁあああああ!!いてぇえええーーー!!」
若い男は顎が外れるほど大きな口を開けて叫び出した。
腹に食い込んだ爪は、徐々に広がっていく。
皮膚が裂けて血が吹き出す。
腹筋が割れないまでも強く収縮し、腹が何度もビクンビクンとしなるように動く。
腹部をビタンビタンと縛られている柱に打ち付け、なんとか万力を外そうと必死だ。
そして反射的に腹に力を入れ続け、抗おうとし続けた。
「ギギギギ………フッッ!!!!クッ!!!…………ぃあああああがあぁあーーーー」
それでもなお爪は広がっていき、若い男にはミチミチと組織の裂ける音が聞こえた。
「……なぁ!!俺ができることなら!!なんでもするからっ………やめてください!」
若い男は必死に懇願する。
「じゃあここで今すぐ射精しろ。」
「……無理だよ!ぃああいいいいいーーー!!!む……り゛ぁーーー………!!!」
「ならばその貧弱な腹筋は無くなると思え。せいぜい力入れることだな。」
「おい、もっと回せ!」
「裂ける!!腹がやばい!!お願いしますやめて!やめてやめて………シヌ死ぬしぬ」
「身体が潰れる!!!腹筋がぁ…………ぁぁああああーーー!!!!」
「そ……そうだ!ジーパン下ろしてっ!!!チンコ出させてぇぇぇーーー!!!」
「絶対すぐにイくからっ!!!………ぁあああぎゃあーーーーー!!!」
それでもなお爪は広がり、ついに腹筋が真ん中で裂け始めた。
ミチミチと音を出して、筋繊維がブチブチ切れる。その度に、あたりに血液が飛び散る。
「どれ。……」
ジーパンを脱がせてみた。
勃起も当然せず、ただブラブラと小さな逸物が揺れていた。
「すぐにイクといったな?いってないじゃないか。もうよいわ。もっとも、お前の腹はもうダメだ。筋肉がないからな。ははは!!」
「…………がぁ………ぁぁぁ……………」
若い男は、腹部の主要筋である腹筋の機能を失ったことで腹圧が無くなり、声を出せなくなった。
「貴様の腹、ようやく見えてきたな。その貧弱な腹筋、外してやるよ。」
白髪の男はそういうと、血みどろの若い男の腹にホースで水をかけた。
血が洗い流され、裂けてボロボロになったピンクの組織と黄色い脂肪が混ざった内部組織が露わになった。
「見えるか若造?これがお前の腹筋だ。もうなくなるからよく拝め。」
「………かっ……………ぎ…………」
若い男は虚ろな顔で痛みにひたすら耐えており、よく聞こえていなかった。
男は左半分の裂けた腹筋組織を掴み、強引に引っ張った。
鍛えていなかった若い男の腹筋は1センチほどの厚さしかなかった。
若い男は、朦朧とする意識の中必死で力を入れて腹筋を硬くしていたが、裂けた腹筋に入る力はたかが知れていた。ただただ、痙攣しているだけだった。
ミチミチ………ビチィ………
腱が裂けて若い男の腹筋が剥がされていく。
「………はぁっ…………!!あああ………あ………あぁあああ………」
激痛の中か弱い声で悲鳴をあげる。
剥がれていく腹筋は途中まで悲鳴のたびに痙攣しながら収縮していたが、どこかで神経が完全に切断されたのだろう。
途中からはピクリともしなくなった。
取り出された腹筋は4つに割れていた。
1センチにも満たない薄い筋肉は、周囲の小さな筋肉群と脂肪組織とが混ざって、血でベタベタとしていた。
「お前の腹筋だぞ。ホラ。ボディービルダーになれば8パックでかっこよかったのにな?」
「………」
若い男は白目を剥いて口から泡を出していた。
もう片方の腹筋も、一度ホースで血を洗い流してから力一杯引っ張って剥がした。
メチメチと音がして、徐々に剥がれていく。
若い男はもはや動くこともままならず、成されるがままに腹筋を失ってしまった。
こちらは3つに割れていた。2つとも近くにあったテーブルに置いておく。
「おい、貴様の腹筋左右で割れ方が違うぞ。ほらよく見てみろ。」
腹筋が剥がれた若い男の体内がうっすらと見える。
半透明の膜に守られ、その中には内臓が詰まっていた。若い為内臓脂肪はあまり付いておらず上部には心臓が見えた。ドクンドクン………と心拍50くらいの徐脈でかろうじて動いていた。
「………」
若い男は腹筋を失い、失神している中で満足に呼吸ができなくなっていった。だが肉体は肋骨を必死で動かし、横隔膜を動かし続ける。
とめどなく裂けた部位から出血が続き、若い男は徐々に生気を失っていく。
ときおり、空になった腹の中で行われる必死ながらも徐々に消えゆく生命活動を見て白髪の男は笑いながらその場を立ち去っていった。
だが、若い男はそのまま………。