「あなたの好みの腹筋を持ったバーチャル人間作ります」
最近、好きな指示を入れるとその通りに動く人間そっくりの質感を持った精密ロボが流行っている。
…‥そんな怪しいwebサイトを見つけたヒロシは、半信半疑ながらも問い合わせをしてみた。
「1体いくらですか?どの程度使えますか」
チャット形式のため、返事は早かった。
「1体10万円です。基本的には最長半年間ご利用になれますが、利用上限数がございます。10万指示までとなります。」
ヒロシが悩んでいると、再びメッセージがきた。
「……もしお悩みでしたら、弊社のギャラリーまでお越しください。1体無料で1日体験いかがですか」
誘い文句に乗ったヒロシは、心臓をドクドクと鳴らしながらギャラリーまでやってきた。
(自分がやられてるのを見れたら最高なんだけどな。それは無理だし。せめて筋肉が発達したやつをメチャクチャに苦しませたい………)
すぐに、筋肉でパツパツの半袖シャツを着た若い男が寄ってきた。
「ヒロシさまですね。こちらです」
案内されたところにはPCがおいてあり、あたかも生きているようなバーチャル人間が表示されていた。
「ヒロシさま、こちらのPCのここの部分に、あなたが一番欲しいと思われる特徴を記載ください。それに合わせて生成いたします。」
「この特別体験は、1つお願いしていたとおりヒロシさまも全裸にてお願いいたします。肉体データの収集にご協力ください」
「は、はい、わかりました」
ヒロシは心臓が飛び出そうなほど緊張……いや。興奮していた。
(自分の身体に興奮して、本当は自分がヤラれてるのを感じながらイキたいなんて書けねぇよな)
「そこのカゴに服を入れてくださいね」
そう言われ、素直に従った。
想像だけで勃起していた彼は、性器が上を向いて脈打っていた。
ヒロシは運送会社勤務で重いものを運んだり引っ越しは日常的に行なっていた。
このため、骨格は華奢で肩幅が狭いものの筋肉に覆われて体は厚みがあり、筋肉質だった。
先ほど来た営業マンの若い男が耳元で囁いた。
「おや、すでに勃起されているようですね。見たところ12センチほど。大きさは標準ですが、先は大きくて太い。腹筋もいい6パックだ。発達していて力を入れなくても腹の膨らみがありますね。もちろん形もいい………。この体験では勃起だけでなく射精されるお客様もいらっしゃいますし、イッても問題ありませんよ。」
「筋肉はあるし余分な脂肪もなく筋繊維がはっきりした身体ですね。ご自身の身体を再現するコードも、知りたいところ……ですね?自分の身体をメチャメチャに痛めつけてみて、どれくらい苦しむのか。もちろん強さもコントロールできます。私のこの筋肉量なら……腹筋にパンチしたら、内臓がどの程度ひしゃげるのか………」
「……はい。よくわかりますね」
「仕事で重いものを運んでる時、どんどん心拍数が上がるんです。頭の中に脈が響いて、腕の筋肉が疲れて、ゼェゼェ呼吸が荒くなっていくんです。そのあとパンプアップしたカラダとか、脈が浮いてる首筋とか、息吸った時の胸の凹みとか、必死で動いてるんだって思うだけで興奮してしまって」
ヒロシは顔を真っ赤にして返事した。
店員の話を聞いて想像するだけで、股間がどんどん熱くなる。
それに店員の筋肉が気になり、股間も含めて舐め回すようにみてしまう。
それに気づいた店員はいたずらに笑い、言った。
「あ、私の筋肉はまだサービスしておりません。ご購入いただけましたら、特別にお見せいたしますし、バーチャル人間として再現するためのコードもお伝えできます」
「まずはあなた好みの身体を作ってみましょうね。いくつか聞くのでこたえてくださいね」
「筋肉量は35〜40が普通ですね、あなたは38%くらい。あそこにいる細い店員は34ですね。これは50まで指定できます。このスライダーで、各部の筋肉の偏りも指定できます。どうします?」
「筋肉質で、腹筋マックスで……お願いします」
「じゃあ45パーでいきましょうか。」
「あわせて体脂肪率も。1〜30までです。あなたは……7くらいですか。私は11ですが。」
「え、えっと。筋肉の筋もみたいから5……パーくらい」
「腹筋の区画設定ですね。あなたは6パック、私は5です。どうしますか?」
「……6で」
「反応パターンも指定できます。耐えるだけ、嘔吐あり、痙攣あり。どれにしますか?」
「腹パンしたらってことですよね?痙攣させてください」
「性器のサイズはどうします?あなたは11.9センチですね。私は13.5センチです。……あ私のはどっちでもいいですね」
「13.5で………太さは営業さんの……チンコに合わせられますか。見た感じ営業さんのほうが太い。」
「ちょっと確かめますか」
営業はそういって、自身の股間にヒロシの手を置いた。
「……あ、勃起してる………」
「お客様のためです。ご自身のそれと比べてみてください」
ヒロシは自分のものを触り、営業マンのそれを触り、しばらく考えた。
「営業さんのチンコに合わせてください」
「もちろん。それにしておきますね」
と、このあたりが肉体の性能です。
あとは、骨格や筋肉の形、モデルにしたい顔、体のパーツを一覧から決めていきます。
「………ごめんなさい、店員さん……」
「はい、なんですか」
ヒロシが店員の方を見て言った。
「ここまでですでに我慢できないです、おれのチンコをシコってもらえませんか?出したいです」
「……困りましたね、そういうのはやってないんですよね。………」
「……ですよね。大丈夫です、最後まで作って、1人で家でシコります……それまでに出そうだけど………」
「……じゃ、私の全裸みてみます?さっきのやつの仕上げの参考に。ご存知の通り、さっきからずっと勃起してるんです。お客様が心臓バクバクさせてチンコ勃たせてハァハァいいながら座ってらっしゃるので。ほんとはお買い上げ後なのですが、特別ですよ。」
そういって、スーツを脱ぎ始めた。
性器は勢いよく上を向き、割れた腹筋に張り付いていた。
「……あ、すご………」
ヒロシは首の血管が脈動し、明らかに呼吸、血圧や心拍が上がっていた。
そして、全部脱いだ男の体が目の前にあらわとなった。
「いかがです。あなたが設定したバーチャル人間は、私よりもっと腹筋が発達していて脂肪が少なく、筋繊維が隅々まで確認できますよ」
ヒロシの手を掴み、チンコを握らせた。
「あっ!!何を………」
店員は、そのままヒロシの手を動かして扱かせた。
「勃起した私のものはどうですか?」
「ふ、ふといです……硬いし、金玉も大きい……鬼頭、さわるとピクピクします」
「ふふふ、気持ち良すぎて俺もイキそうです。でも、本当は自分のやつを、私に触って欲しい……ですよね」
「それに」
店員は大きく息を吸った。
鳩尾には激しく脈動する血管が透ける。
「私の心臓、この通りです。ヒロシさんの身体とか興奮状態とか、チンコ触られてるとかで私もムラムラしてます。」
「………聞いてみます?あ、いやダメでした。まだ体験でしたね。」
「あ、すみません。もうヒロシさんの我慢汁が性器の先から漏れていますね。呼吸も荒くなっていらっしゃる」
「そりゃぁ…もう。でもこんなことされたら、営業さんの身体も欲しいしイキたくて仕方ない」
「ですよね。今日は体験なので、本当のおさわりは、本購入までおあずけです」
「……くそ、上手だな。こんなにムラムラさせて俺のチンコまで見せた上に、ギンギンにさせて。あとはもう、俺、イクことしか考えてない」
ヒロシは笑いながら言った。
「……そうでした。あとは生成だけですね」
「できたら心置きなく本日はお楽しみくださいませ。それでは生成します。5分ほどお待ちください。……あ、壊したり体液をバーチャル人間の中に入れたりすると弁償いただきます。よろしいですね?」
「はい」
………
「これが体験用のものです。」店員が連れてきた。
身長178センチ、体重80キロ。
格闘家のような体つきだった。ちゃんと腹筋は6つに割れており、呼吸のような動きと共に筋肉が動いている。
血管も浮き出ており、筋繊維が薄い皮膚から透けてくっきりと浮かび上がっていた。
「名前はアグと呼んであげてください」
(うわ……超好みの筋肉)
(チンコ、やばいくらい勃起してる……)
「ありがとうございます、………どうしよっかな」
「何か指示しましょう。もう、ヒロシさんの股間も限界ですね。」
営業がそう言った。
「………えっと………。アグ、腹を踏まれて胃が潰れて全身の筋肉が痙攣してっ………」
ヒロシが言うと、突然アグが倒れ、シックスパックの腹筋がボコボコと凹み出した。
それに合わせて、あぎゃあ!うぐっ……など、悲鳴が発せられた。
だんだん悲鳴が鳴き声に変わっていき、人であればゴボゴボと内臓にもダメージが及んでいるかのようだ。
アグは口をパクパクしながら全身をガクッガクッと振るわせ始めた。
「そこから口と鼻が水没する………!」
ヒロシが続けて叫んだ。
満足に肺に酸素を溜められていないアグは、口と鼻を封じられた。
呼吸をしようと、アグの腹や肩はなんども必死で収縮し、空気を求めていた。
顎が外れるほど口が開き、喉仏を動かして空気を飲もうとする。
グォーーー!!!グォーーーー!!!
と、掃除機のような音がしだした。
ヒロシの命令により喉が塞がれており、体内のモーター出力を最大にして酸素を吸おうとしていた。
脳に相当する装置は最大出力で酸素を得ようと必死の演算を繰り返していた。
全身の筋肉は無秩序に動き出し、喉を掻きむしり、腰を床に打ちつけ、酸素が来ない胸郭だけを筋肉が必死に広げていた。
「……いかがですか?かなり迫真だと思いますが」
「は、はい、痺れます………。ほぼ人間みたいですね………」
「まだまだ命令できますよ。」
「アグ、もい呼吸していいよ……。つぎ、俺の腹を一発殴って。腹筋が一番つぶれる強さで……。そのあと、俺のチンコをシコって射精させて」
「もう我慢できない……」
「……ヒロシさん、なかなか攻めますね……筋繊維の強さをかなりあげているので、耐えられるかな……。ヒロシさんの腹筋割れてますけど厚さが……。それでも、やります?」
「はい」
アグは立ち上がり、ヒロシの腹の前までやってきた。
筋組織が人のそれと見間違うくらい精巧にできており、腕を動かすと三角筋が盛り上がった。
アグが振りかぶったその時、ヒロシは小さく呟いた。
ヒロシのシックスパックがグッと締まり、上腕筋の力瘤に血管が浮いた。
「あ」
次の瞬間、ヒロシの腹にアグの突きが刺さっていた。
力を込めて固めた腹筋はいとも簡単に凹み、肋骨の形を浮き上がらせながら腹が凹む。
腹に拳を突き刺されたまま、への字になったままヒロシは宙に浮いた。
「っぶぉあ!!!!ぐぉあ!!!!っがぼぉおおおっ!!!ぐっえっええええーーーー」
ヒロシは耐える暇もなく、手足をビクンビクンとばたつかせ、腹筋を激しく収縮させて床に吐瀉物を撒き散らし始めた。
「っぶがぁっは!!!がっ………っごぼっごぉぼぉぉおおおおっ」
腹をゴポゴポと鳴らし、腹筋が何度も何度も胃を締め付け、内容物を出そうと懸命に動く。
アグはそれを無表情で眺めながらものすごい強さの力でヒロシを床に叩きつけ、仰向けに固定し、マウントポジションを取った。
あたりは胃液で溢れているが、すぐさまサポートの社員が掃除をし、消毒がおこなわれた。よくあることなのだろう、みんな手際が良い。
「ヒロシさん。勃起していないようです」
「心拍が140へ急上昇し、かなりダメージがありそうです。勃起が止まったのは、性的興奮より生存本能を優先するため体内の血液循環量を減らしたためです」
男の声でアグが話した。
「どうしますか」
「俺の腹筋……ごほ……どれくらい………」
「ヒロシさんの腹直筋は37%が今の打撃により損傷し、収縮力を失いました。まだ続けますか?後4回で全ての筋組織が破壊される見通しです」
「……ごめんなさい。俺をいかせてください」
ヒロシが言った。
「かしこまりました。初回で性的刺激が敏感な部分が不明のため、全性感帯に刺激を与え検査及び勃起を誘導します。」
「心拍149。内臓ダメージ、なし。全身筋繊維稼働可能率90%……」
「ヒロシさんの首に測定装置をつけます」
「測定開始」
「……あっあっあ!!!あっ!!!あん!!!あっ!!!!」
ヒロシは全身が感じたこともないほどの快感に襲われ始めた。脈に合わせて、再び性器が勃起しだす。
体の芯から湧き上がる快感が止まらない。
「あっ………あ!!!あんあ!!!あっ!!!!」
アグは、ヒロシの硬くなっている性器を掴んだ。
「ヒロシさん勃起反応あり。今から射精を誘導しますが、やって欲しいことはありますか」
「……あ、すでに射精が行われました」
ヒロシは腰を振りながら一心不乱に精液を放出していた。
「……あっ……あ………あーー…………」
「おれの筋肉………もっと見せて……あっ………アグ、ぁあーーー」
「アグのパンチを、俺の生の腹筋に浴びせて呼吸止まるまでやって」
「っあん!!あっ………あ!!そこぉ…………」
ヒロシは快楽に溺れ、射精に至らずともオーガズムを感じ続けており、適当なことを口走っていた。
「生命活動に影響しますが、よいですか?」
「……あっ!!、あ!!!あ!!!!」
「筋肉をそのまま直接見たいと?危険を伴います」
「…‥あっ!!!止めないで……何でもいいからもう一回射精させ………っぁあああーーー!!!!あっ!!!あっ!!!!またいく!!!いく!!!!いっく………」
「…‥良いですね。心臓が停止したら蘇生措置に入ります」
ヒロシは叫びながら体を震わせ、何度も射精していた。
「……では、ヒロシさんの筋繊維を露出させ、筋肉および血管、心臓などの臓器を目で見られるようにします」
「皮膚を除去………開始………」
「…………ぁあ!!!あぅううううぎゃぁーーーーあーーーーいでぇええええーーーいったあーーーーーわあわ!!!わ、あ!!!!!!!!!!」
ヒロシは突如叫び始めた。
皮膚を摘まれ、ブチブチとちぎられている。
皮下脂肪や血管もろとも裂け、身動きが取れないようにされたヒロシはなすすべなく全身が侵されていく。
5分もしない間に、おおかたの皮膚が剥ぎ取られた。
「洗浄します」
アグがいうと、ヒロシの身体に生理食塩水がかかり、血や油を落としていく。
「あがぁ………あ…………がぁ…………あ」
全身に麻酔を塗布されたことで、幸い痛みは感じなかった。
だが、鏡に映った自分を見たヒロシはとてつもない衝撃を受けていた。
いつも鏡で見ていた、少し割れた腹筋やTシャツの上からも盛り上がって見えた大胸筋。
血管が浮いた筋張った腕、先がすこし剥けた性器。
それらが全て一変し、筋繊維の束がピクピクと動く大胸筋、白い線で6つに割れた腹筋、呼吸するたびに動く肋骨、息を吸って薄く伸びた大胸筋の奥に覗く、心臓………。
人体模型のような体がそこにあり、自分の意思で筋肉を動かしていた。
「…‥これ俺のカラダか…………」
ヒロシは思わず呟いた。
とんでもないことをしてしまったようだ。
ヒロシは心拍が急上昇し、これから起こる最悪の結末を想像した。
「そうです、ではパンチいたします。腹筋は先ほどお伝えしたように3割はすでに動いていません。下腹部がまだ無傷です。そこを狙います」
アグはすかさず、そう言った。筋肉むき出しの腹に拳を構え、全身のバネを使って振り下ろした。
っどっごぉ!!!
衝撃とともに、ニチャッという粘着質な音もした。
6パックの下4つの筋肉繊維が潰れ、腸や胃がひしゃげた音がした。
腹筋のど真ん中に拳が突き刺さり、アグは拳を捻った。
筋繊維を直に巻き込み、筋肉がグチャグチャと捩れていく。
臓器を守ろうと筋肉がビシビジと収縮していたが、お構いなしで腹筋を捻り、腹の中へ押し込み、臓器や筋組織を破壊する。
「ぐっふ」
ヒロシは口を開け、ただひたすらに痙攣し始めた。
細い太ももの筋肉がビクンビクンと動く。
「っぐご………がっ…………ぐお」
「殴りましたが呼吸が停止しないため、大胸筋を機能停止させます。」
アグはそう言って、ヒロシの膨らみがある大胸筋に手を置いた。
「電流発生」
「ぅうううううーーーー………うううーーーーーーーーーー」
大胸筋がはち切れんばかりに収縮しはじめた。
そしてプルプルと震え始め、ところどころに血が浮き出てくる。
筋繊維が破壊されて出血している。
10秒ほどで痙攣は止まったが、もう胸の筋肉は動かなくなっていた。
「っがぁあーーーー………っひぁーーーーーーっ…………ぁあがぁあーーーーー」
ヒロシはさらに呼吸が苦しくなった。
腹筋も大胸筋も使えなくなったからだ。
残るは腹筋の周囲、首、肩、肋骨を使って懸命に呼吸していた。
「呼吸が止まらないため、腹筋を潰します」
アグはそう言って、シックスパックで1つ1つが盛り上がり、呼吸に合わせて動いている腹直筋を掴んだ。
「硬くなってますね。これを今から潰し、収縮不能にします」
「電流発生」
「………ぐおおおおおおおお!!!!おおおおおおおおお!!!!おお!!!!!!」
ヒロシは腹筋を曲げ、シックスパックがガチガチに硬直していた。
痙攣し、プチプチと音がして筋繊維が切れていく。
「停止」
ヒロシの身体は床に叩きつけられるように落ちていき、ハァハァと激しい呼吸が始まった。
呼吸に使える筋肉が減ってきており、大きく大袈裟な呼吸が始まった。
「ふたたび射精、近そうですね。ヒロシさん、イキますか?」
「………ぐぉおおおおお………ぐぃあひっ…………ぐあ…………」
口を開け、目を開き、汗だくになって必死に肺を膨らます。それ以外はもう何もできなくなっていた。
筋肉を露出させたことで傷がつき、肺の周りには穴が空いてしまっていた。
猛烈なスピードで肺が膨らんでいたが、その膨らみ方は弱く、スゥスゥと空気が漏れていた。
アグは、ヒロシの性器を握り、前立腺に指を突っ込みながら刺激を開始した。
「………っぷあ…………ひっ…………ぐぉ…………ぐひっ」
ぶっしゃあーーー!!!
びゃぁっ!!、びゃぁ!!!びゃぁ!!!!!びゅううっ!!!!
自身の腹筋に何度目かの射精により薄くなった精液がかかり、体内に染み込んでいく。
それを見届けたアグがいった。
「ヒロシさま、呼吸が停止しませんでしたがこれで体験は終了です。ご要望通りですが、皮膚を失って筋肉むき出しの身体は戻せませんので、そのままお過ごしください。あと3時間もすれば、体温低下、体液喪失、心臓疲労、筋肉の広範囲挫滅による電解質異常で心停止いたします。」
「ご利用ありがとうございました」
そう言って、アグとなぜか精液まみれの性器を勃起させていた営業マンが去っていった。
「ヒロシさん、いやあいいカラダですよ。肉体がここまで潰されて筋組織まで露出させた人は初めてです。申し訳ありません。1人でシコって、出たこともないくらいの量が出ました」
「ほらこんなに精液臭いです」
営業マンは、去り際に勃起したままの性器を、大胸筋の上に置いて指でパチンと弾いた。
残っていた営業の精液が、ヒロシの損傷した大胸筋に直にかかり、衝撃が神経を著しく刺激した。
「っぎゃぁあああ…………ぁあーー!!!!っぁあーーー!!!」
神経を直に触れられたことで激痛が走り、その場で腰を浮かせて悶絶した。
何度も何度も叫び続ける。
「……はぁ…………はぁ…………苦しい、寒い、痛い………」
「誰か助けて………筋肉が丸見えでボロボロになってる………シックスパックも見たからもういいよ………死ぬの?………」
そう言って、ヒロシは再び射精した。
精液が放物線を描き、自分の顔にかかる。
「皮、返して……胸の筋肉動かないから腕が動かない………腹も力入らない………立てない……起きられない………誰か………ぁあああ」
ヒロシはハァハァと筋肉を収縮弛緩させながらしばらくその場で横たわっていた。
だが、だんだんと筋肉がパリパリに乾燥し、ヒロシの呼吸も荒くなっていく。
「助けて死にたくない、皮をだれか」
「射精4回もしたのに、ケツがドクドク収縮するのがとまらない」
「精液でないのにイッてる………ずっと」
「これリセットできないの?」
「営業さん、助けて」
「助けて」
「何でもやるから助けて」
ヒロシは芯のない弱々しい声で、誰もいない部屋で叫びつづけた。
ものの数分後、急に爆発的な呼吸をしたかと思えば、極めて不規則な呼吸へ変わっていった。
脳が必死に呼吸を試みても、乾燥して変性した筋肉はもはや動かず、ヒロシの体内の隙間から見える心臓が狂ったように動いてなんとか生きていた。
「……ぁ………あ」
「しぬ………の………か………」
ヒロシはわずかな声でそううめいた後、突然心臓が止まった。
体温が奪われ、筋肉も乾燥し切っていた。
腹の上や胸の上にはネバネバとした液体が点在していた。
ヒロシの指は大胸筋を掻き分け、肋骨をむしり、心臓を掴んでいた。
止まりそうな心臓の苦しさから解放されるため、必死に心臓を叩いていたのだ。
目が飛び出し、口は大きく開け、胸はむしられ、腹筋は赤く変色して筋肉が伸び切り、くたびれたゴムのようにビロビロとたわんでいた。
その後、ヒロシを見たものはどこにもいなかった。
だが、その後の店には新型が飾られ始めていた。
店員は元気よく店の中にいる男性に声をかけていた。
「新型のヒロといいます。見ての通り筋肉はあまり発達していませんが、腹パンでも射精でも、叫び声でもなんでも対応できますよ」
「筋肉が少ないので押さえつけるのも簡単。腹筋の割れている部分を掴んで悲鳴をあげさせたり、鳩尾を責めたりしてもいいんです」
「旧型と比べて、鍛えて筋繊維が発達した本当の人間の筋肉を研究し直したため、筋肉の質感や声はさらにリアルさを増しました」
そう説明している人物の身体は、他の店員がTシャツのなか1人長袖で人に肌を見せないようにしていたのだった。