「すいません、これやりたいんですけど」
髪を短く刈り上げた若い男が、とある店で店員に話しかけた。
「ありがとうございます!こちら内容はご存じですか?」
「いえ、あまりよく知らないです」
男が答えた。
「説明しますね。えっとですね、こちらは仮想空間上で楽しむものになります。お客様のお身体……ざっくり言うと筋肉のつき方や強さをですね、これを調べまして、どんどん肥大させたり減らしたりして身体がどう変わるかをみて楽しむものになります。上位機種ですと、既に登録済みの他の方の筋肉も見られます。」
「お客様はこれをどのような用途で?」
店員は男に聞いた。
「筋肉を限界まで鍛えたらどんな身体になるのかな…と思って。見ての通り、筋肉もないし細いので。……ま、鍛えてないし運動もしていないからなのですが。こんなおれでも、これを使えば筋肉に力入れたらボディビルダーみたいに筋入っていくんですか?」
「もちろんです。お客様自身の筋繊維の発達や量、反応をシミュレートしますから、お客様の身体を最大限まで痛め……あ、いや、鍛えた時の筋肉を見られますよ」
「すごいですね……。あ、オプションつけたら他の人の身体も見れるんですよね?」
「はい。そこそこの値段しますけどね」
男は考えながら言った。
「ですよね……。おれの身体とくらべてみたいんですよね」
「うーん、なら例えば私で試してみます?」
「……いいんですか?」
若者は少し照れながらそう言った。
「参考にはなるかと。」
店員は服を脱ぎ、上半身裸となって話し始めた。
「ご覧のとおり、私はあまり筋肉ついていません。腹筋も割れてないですし、肩の筋肉とか太ももの筋肉も、力を入れても……このくらい。こんな身体です。」
「触ってみます?筋肉量も体感してください。私は慣れてますので遠慮なく。」
店員の体を触った。
「筋肉、力入れますね。貧弱で恥ずかしいですが」
触ったところに力を入れて筋肉を盛り上げてくれているが、筋肉は確かに薄く感じられ貧相な身体だった。
「失礼ですが筋肉……ないですね。すみません」
「でも腹筋は触ったらボコボコしてて、鍛えたらいい形になりそうですね」
「……いえいえ、その通りですよ。ですが、これを装着いただくと、この身体すごいことになりますよ……」
男はゴーグルをつけた。
全く別の空間が広がっており、店員が1人そこにいた。
「……!!!」
ゴーグルをつけた男がみたのは、腹筋が8個に割れ、全ての筋肉が溢れんばかりに肥大した店員の姿だった。
男は聞いた。
「こんな筋肉っ………すごいっ!!」
「……さわれますか?」
「はい、感覚もシミュレートできますよ。」
筋肉の塊のような店員が話す。
脂肪がない状態で、筋繊維の束が浮き上がって太い血管が網目のように走り、大きな筋肉と筋肉の隙間にあるような小さな筋肉でさえ浮き上がっており、いささかグロテスクですらあった。
男は店員の体をふたたび触ってみた。
暖かく、そして筋肉の弾力を感じる。
「すげぇ、本物みたいだ」
大胸筋を触ると、筋肉の盛り上がりが手にダイレクトに伝わってくる。
そして、店員の体からドクドクドクと心臓が激しく動いているのまで再現されていた。
「なんか凄く心臓がドクドクしてますよ?これもお試しで、ですか?」
「いえ、これは現実ですよ。外してみて下さい」
「あ、はい」
そう言ってゴーグルを外す。
すると、貧弱な肉体を纏った店員に戻っており、店員の大胸筋を触っていた。
触ったあたりの血管なのか心臓なのか、薄い筋肉を超えてドクドクドクと脈打っていた。
店員はにこやかに笑っている。
(心臓がドクドクしてるのは、これから君にやってもらうことへの興奮だよ)
「ははは。いま、お客さまが体感していたのは、私の筋肉が、副作用を無視してステロイドなどを利用し、限界まで肥大した時のものです。ベンチプレス285キロくらい上がる計算です。腹筋も、私は気づかなかったのですがエイトパックでしたね」
店員が話す。
「ま、ここまで筋肉が発達すると実際は心肺機能や肝臓、骨格や関節がもちませんし、筋肉の消費エネルギーがすごくて餓死してしまうかもしれません。そこは、このサービスで安全に楽しんでいただく……と。」
「………いかがです?こうしてデモをするとかなり好評でして、みなさまお買い上げになられます」
「……あ、大事な確認を忘れていましたね。お客様の身体も、是非いかがですか?あくまでお試しなので、筋肉量は2倍が限界ですが」
「やってみたいです」
男は楽しそうに答えた。
「おれの体がマッチョになるってことでしょ、楽しみ。」
「いくつか注意事項があります。まず、測定のため一旦全裸になってもらいます。」
「えっ何でですか?」
男が聞く。
「筋肉の発達限界を調べる際に、現在の身体の状態を調べるためです。」
「骨格、心臓の強さ、腹筋のダメージに耐える……あっいや形状ですね、そうしたところを見ますので。」
「また、性器は必ず勃起させたままでお願いします。その時の状態の体内データを使います。もちろん私はみませんので、安心してください。そこの測定用のカメラに向けて勃起させ、機械の指示にしたがって筋肉に力を入れてください」
「一時的に筋肉が動かないこともあります。また、場合により全身を固定して筋繊維を強力に刺激することで痛みを感じるかもしれません」
「なお、この装置を使ったいかなる怪我も責任は負えません。ご了承くださいね」
店員は早口で捲し立てた。
「では、こちらに……」
男は小声でぶつぶつと話しながら、案内された部屋へと進む。かなり奥まった場所にあり、暗かった。
部屋は三つあり、真ん中は誰かがいるようだ。
「え、チンコもだすのか……まぁいっか、誰もみてないなら。」
「……怪我か。ゴーグルをしていると足元見づらかったからな。」
男はそう呟きつつ歩いて行く。
「では、こちらで脱いで、ここに腕を通してロックしてください。はやめに準備をお願いします」
なぜかクローゼットの中にあるハンガー掛のような棒が、部屋の壁から壁に固定されていた。ここの筒のような部分に腕を通して、固定するようだ。
男は、特に疑問を持ち続けることなく着ていた服を全て脱いだ。
部屋の至る所にある鏡に映った身体は、わずかに腹筋が4つに割れているのが見えた。
「触った感じ6パックなんだよな……胸の筋肉はどんな形なんだろう」と考えながら腹筋に力を入れて割れ目を触ったり、大胸筋を動かして筋肉の形を確かめてみたりしていた。
「では、お待ちください」
店員は部屋のドアに鍵をかけ、案内された場所から立ち去った。
(おぉお……細くて脂肪が少なく、筋肉もないが、余計な肉がないから筋肉の収縮が手に取るようにわかりそうだッ)
(そそる、そそるぞ………早くヤりたい)
両腕を広げる形で棒に身体を固定し、部屋の中で待っていた。
(あ、しまった、勃たせるのか。……うーんおかずもないし。スマホ見てやるか………あ、腕が動かないんだった……)
そんなことを考えていたら、突然変な音が響いてきた。
「ぅううううぐぉおおおお!!!うおぁああああーーー!!!」
「止めるゥウウウオオオオオーー!!!もういいよ!!止めてェエエエーーーー!!!!」
「おぐうっ!!おげっ!!!げぇ!!」
……どうやら、隣にいた人が叫んでいるらしい。
金属がガシャガシャと当たる音もする。
「えっ!何?」
男はびっくりして鍵を開けようとした。
だが、腕はロックされており動かない。
ガチャガチャと音を立て、身体を棒に打ち付けながら必死に部屋から出ようともがいたが、そう言うことは許されていないようだ。
男の心拍数はどんどん上がり、体が熱くなってくる。
「出せって!!!ここから出せぇ!!!」
男は必死に叫び、出ようとする。だが、腕はかなり強く固定されてしまっている。
「……お客さま……困りますよ。心拍数が175、さっきまで95だったのに。体に悪いですよ?さて早……はやく真ん中に来てください」
「この方の筋肉で、今からあなたにすることを説明します」
突如部屋に案内音声が流れる。さっきの店員の声だ。
男は震えながら部屋の真ん中に移動した。すると、隣に繋がっている方の壁が透過し、横の様子が見えるようになった。どうやら電圧がかかると透過するマジックミラーのような構造らしい。
そこには、165センチの25歳くらいだろうか。
体操選手なのかボディビルダーなのかわからないが、全身かなり発達した筋肉質で腹筋が6つに割れた男がチンコを勃起させたまま、男と同じように金属の長い棒に両手を固定され、こちらに腹を向けて激しくのたうち回っている様子が透けて見えた……。
さらに声がする。
「あまり動かないでくださいよ。今見えている男の方も、これからのあなたと同じで筋肉を調べられています。……こんなふうに」
「っぎゃああーーー!!!」
「だっずっげでぁあええええええー!ー!!!」
「自分の限界まで大きくなった筋肉見て、チンコギンギンにして、人に見られる想像してイキたかっただけなんだっ!!!……ぁあああー!!!!やべでぇえええ!!!!!シコるからぁ!!!ゆるじでぇえええ」
隣の男が割れんばかりの声で絶叫し出した。
棒に並行に括り付けられた腕の上腕二頭筋がボコっと盛り上がり、ガタガタと音を立てて暴れている。
苦しそうに脚をバタバタとさせている。
「いい声でしょう?低めの声でハスキーな感じもいい……。」
「自分の筋肉が美しすぎると思っているようで、もっと肥大したらどんなに美しい体になるか興味があるとのことで。こんなに筋肉質で、今でもベンチプレスなら95キロも上がる身体なのに、欲深いですよね?」
「試しに腹の筋肉を全部硬直させて、このうるさい声も出せなくしてみましょうか」
「だんだん腹筋が血管浮立たせて硬くなって自分で動かせなくなって、それでも呼吸するために脇腹と肋骨がヘコヘコ動いて必死になるの面白いですよぉおおーー!!!」
店員が興奮して叫ぶ。
この男の腹筋が急に固まり、動かなくなった。
「うわぁあーー!!!!うあっあ。っくっき………!!!!かっ!!!!!っ!!!!!!!!かぁ…………」
「カッ……!!っかっはぁ………!!!………ぁ!!!」
かろうじて動く肋骨を大きく動かして叫ぶも声がだんだん掠れ、ほどなく聞こえなくなる。
「ほら、声を出す筋力がなくなって静かになった」
店員が呟いた。
「……!!!………!!!!!!」
それと同じくして肺に空気を入れられなくなったのか、もはや動かない腹筋をどうにか動かそうと脇腹の筋肉が必死に凹もうとしたり膨らもうとしたり、酸素をどうにか取り入れようと懸命な努力を繰り返し始めた。
脚を大きく曲げ、バネのように上に伸ばし、腕の固定具をもぎ取ろうとガシャガシャと音を鳴らす。
喉をヒィヒィと大きく鳴らし、肋骨だけを動かして肩を上げ、口を引き攣らせ無理やり呼吸を続けている。
店員が言った通り、どんどん血管が浮き出て、6個に割れた腹筋は猛烈な収縮が続く。1つ1つの形が手に取るようにわかるほど硬くなっている。
「こんなに呼吸で使える筋肉を減らしているのに、まだできていますね。すごい筋力だ。」
「身体の限界を知るには、もーーっと限界まで筋肉を酷使し、筋力やバランスを計測しなくてはなりません。」
「やってみましょうか、アレを」
「あああああああ!!!!!!アアアアアアア!!!!」
男は突然、腹を折り曲げたり伸ばしたり、腹筋を激しく動かしだした。腕が固定されているため大きくは動かないが、それでもかなりの角度で上半身が折れ、肩が引っ張られている。
6個に割れた腹筋は悲鳴を上げながらも盛り上がり、細かく痙攣を繰り返しながら収縮し始めていた。
「あぶうっ!!ぅううう!!おぅ!!はぁっ!!!!あぶ!!!ぁああ!!!っはぁっはあっ!!はあ!!は!!!ぁあああ」
強制的な腹筋運動のような状態で、腹筋が完全に引き伸ばされると同時に収縮を無理やり行わせているため、内部の筋繊維はおそらく激しく損傷しているだろう。
「鍛えていて持久力もあり、大変素晴らしいですね。今の時点で筋組織の最大サイズの25%くらい。あと4倍、筋肉を増やせます。この方は。」
「そうすると筋肉が重すぎて歩けなくなり、関節もボロボロで心臓も持ちませんけどね……」
店員の声が上ずる。
「さ、弱った腹筋にトドメを刺したときに身体が必死で反応する計測をして、終わりになりますね」
「電気信号として、腹を思いっきり殴られた状態を脳に伝えます。体は痛めつけませんが、脳はそうは思わない。必死になるのでみておいてください。あなたも、やられるからね」
「!!!」
それを聞いた部屋の真ん中に突っ立っている男の膝はガクガクと震え、かちゃかちゃと腕に繋がれた棒を鳴らし始めていた。
「3、2、1」
「どん」
店員がマイク越しに叫んだ。
「ぉぉぉオッ!!!!!!」
隣の部屋の男が肺から酸素を搾り出すような声で叫んだ。
腹に攻撃はまったくないにもかかわらず、腹筋が反応する。
「ごこっ!!!がっ!!!!ぶぅっ!!!!」
「がぶぅっ!!!ぉおおおおお!!!!」
それから何度も何度も、弱った腹筋が痙攣しながら硬くなる。
男は顔を真っ青にしながら、涎を撒き散らしていた。
「げぇっ………ぉおぅおおぅうううえええ!!!うええええ!!!」
男は何度も何度も嘔吐しかかり、そのたびに必死に堪えている。
「ぅうえええ………うぇっ………だれかとめ……て………もう……息吸うのが……辛い……力が入らない……」
男は息も絶え絶えに窮状を伝えていた。
首を震わせ、ようやく硬直の解けた腹筋を大きく使い、そして胸の分厚い筋肉を動かして懸命に呼吸を続ける。
「最後に8つに割れた腹筋を心拍に合わせて収縮させてみましょう。心臓の脈を作る電気信号を感じ取り、そのまま腹筋全体を支配する神経に直接アプローチしますよ」
「……あ、見た限りシックスパックですが、下腹部にわずかながら割れ目があるから8つに割れてましたね!!あと4倍肥大したら浮き出てきますよ」
それを無視しながら店員はスピーカー越しに喋り続ける。
「さて……」
「もう自分では力すら入れられない筋肉を、強烈な電気信号で動かしますよっ!!筋肉の繊維を残らず使い切って、叫んでくださいっっっ」
「もう私、射精5回目っ!!たまらないこの悲鳴がっ!!もっと苦しんで苦しんでぇっ!!」
店員の本性が現れた……。
「……だのむがらやめで……おぇえ……もう……じんでじま………ぁあああっあ!!あ!!!あ!!!!」
必死に懇願している男の身体は規則的に、そして激しく揺れ始めた。
ビクビクビクビクビクビクッッッ!!!
ビクンビクンビクンビクン!!!!
ビクビクッ!!ビクビクビクビク
男の腹筋はものすごい速さで収縮と弛緩を繰り返している。
腹筋の上部と下部が別々に動き、腹の中に何かが住んでいるようにめちゃくちゃに筋繊維を動員させられている。
「ぁあーーーぁあーーーぁあーーーー!!!」
その揺れに合わせて、男の口からは悲鳴が揺れながら発せられる。
「心臓が動けば動くほど苦しいんですよ。……止めないと………」
「鍛えてるから200近くまでいってますね。早く止めないと」
店員がいう。
「あぁあ!かぁああ!!!あ!!しっんっ!!あぁあああぞうとまれぇ……ぁああああ!!!あっあっあっあ!!!」
男は無我夢中で叫び続けている。
「ふははは!止まるわけないじゃないですか!!」
「こんな筋肉モリモリで何もできず弄ばれて……とてもいい………ぁああーーーいくっ……いく」
「……………6回……目………ですね……もう出なくなってきた」
男の身体は銃で撃たれたように跳ね続け、残された腹筋の組織は限界を超えて収縮弛緩を繰り返され、容赦なく破壊されていく。
「ぁあ忘れていました。射精するための筋肉を見ていなかった」
「肉体はもう死にかけてるけど、ここはまだ……無傷だろう……」
マイク越しに店員が話した。
「さて……骨盤内の筋肉を強制的に操作して、精液を絞る……とっ………」
勃起したままの15センチほどの棒の先から、ドロドロと精液がたちまち放たれ始めた。
男は弱々しくも叫び続けており、快感はない様子だった。
「出た出たッ……!いや……身体の筋肉の強さは申し分ないけど、イマイチですね………ここの筋肉は……。」
「腹の筋肉を押しつけて、前立腺をもっと圧迫して……」
店員がぶつぶつと話している。
「……ぃいいやだぁああーー………はぁはぁはぁ……もっと……出るからぁ………筋肉あるから……もういいですやめてぇ………外して……あんたの……チンコしこってや……っ!!ぉあ!!!!あ!!あ!!!」
突然、ボコボコとうねっていた男の腹が凹み、厚みのある腹直筋が腹の中にへばりつくように形を変えていく。
腹の中身を押し出すように、腹筋が波打って腹を潰す。
その中でも腹筋は無秩序に動き、男の体をガクガクと震わせ続ける。
「……あひいっ!!かあっ!!!あぁあーーーー………あっあ!!!ひい!!!か!!」
緩んでは激しく腹を凹ませるの繰り返しで、呼吸は乱され、あまりの苦痛に心拍数はさらに上がっていく。
腹筋全体が脈にあわせて動かされると共に、腹を凹まさせるような猛烈な腹部への刺激が重なっている。
腹が凹み、腹筋が蠢くたび、屹立しきった陰茎からは精液が押し出されるように溢れ出す。
「おおお心拍数230!!!もう壊れちゃいますねぇ?」
「……もっと飛ぶかとおもったが、まぁいいでしょう。」
終わったようだ……
筋肉の激しい動きは止まり、男のゼェゼェという声とうめき声だけが残った。
「さて、終わりましたよ。これで、あなたの体の筋肉は自由に楽しめます。棒は今から取り外しますので、着替えていただき、体験の準備ができたらカウンターまでお越しください」
店員はそう言ってマイクのスイッチを切った。
「あっあっ………あっあっ………あっ………」
隣では、男が涙を流しながら無表情でアッアッと声を上げていた。
横隔膜の痙攣が止まらない。
身体は力無くだらんと伸び、パンプアップしきって盛り上がったシックスパックがヒクヒク動いている。
そして、だんだんと壁が不透明さを増していき、痙攣しながらぐったりと棒に括られたままの男の姿はぼんやりとしか見えなくなり、やがて何も見えなくなった。
壁の奥からは、ひっ………あ………あっ………と、しゃくり上げるように声を出し続け、動けなくなった男の声が、か細く聞こえ続けている。
「さて、次は君ですね」
スピーカーからそう聞こえた。