囚人番号74850!!
呼ばれたぞ。中へ入れ。
恐る恐る、門を開け中に入る。
ヒロアキは、大罪を犯したあと命を失い、冥界へと移送されていた。
囚人とつく通り、この男の行き先は地獄だった。
「74850、貴様はなにをしたのか分かっているか?」
閻魔が現れ、資料を見つつ話を始めた。
「大切な仲間を裏切り、そして殺したか。そのうえ略奪までも。ぐぬぬぬぬ………ゆるせん」
閻魔はただでさえ赤い顔を真っ赤にして男に言い放った。
「人間の年で500年間、磔の刑に処する。身も心も鬼の金棒で潰されて殴られてくるが良いわ」
「腹も減らないし歳も取らない。そのかわり、死ぬこともない。どんなに痛めつけられても風が吹くと元通り。ただし、記憶は残る。ちょうど鬼たちも暇しておったところだ。」
ヒロアキはそのまま足元の穴に落ち、長い間落下を続けていた。
だんだんと明るくなってきた。とはいえ、目を凝らさないと見えないほどの仄暗さだ。
グワァっと、急に腕を掴まれてその先に引き込まれる。
何が起こったかわからず、顔を左右に振っていると、そこには真っ黒の顔をした鬼がいた。
どうやら、鬼の手で掴まれているらしい。
身体は50mほどあるのだろう。
岩とか何かわからないものが転がった地面まではかなり遠い。
分厚いゴムのような肌、岩のような爪。
ヒロアキの手足はその頑丈な冷たい手に収まり、まったく自由を奪われていた。
必死に力を込めるが、びくともしない。
そのままヒロアキは握りつぶされた。
ぐちゃ……
肩が粉々になり、腰が折れる。
猛烈な圧により内臓の行き場がなくなり、腹が裂けていく。
「ぁ!!!あ!ぁああああああ゛あ゛…………」
ゴリ………ぽき……
ヒロアキは断末魔の叫びをあげた。
鬼の手のすきまから、鮮血が吹き出した。
血液が絞り出されたことで圧力が集中した頭部からは、至る所から血が溢れた。
そして眼球が血で吹き飛び、耳や鼻からはドロドロになった様々な組織が飛び出してきた。
ヒロアキは何か生暖かいものが噴出した感覚を覚えた直後に記憶は途切れてしまった。
……そして、気がつくとまた鬼の手の中にいた。
「………なんだ……おれは、死んだはず……身体を潰されて……」
「なぜいきている」
「話を聞いてなかったのか。ここは地獄。貴様は磔で500年過ごすのだ。地獄の風が吹くと肉体は元に戻る。楽しんでくれ。ふはは」
鬼はこの世の声とは思えない不気味な声で、ヒロアキに話した。
そして、45メートル以上の高さから地面に投げ捨てた。
「うわぁあーーー!!!」
体は頭を下にして落下していく。
見たこともない形の岩や鋭利なもので埋め尽くされた地面がどんどん近くなる。
そして、ドーーーン!という音が響く。
ベチャァァア、とヒロアキは潰れた。
内臓が飛び出て、心臓が転がっていた。
まだ、それは規則正しく動いていた。まだ死を認識していないのだろう、5回ほど拍動を続けた。
しばらくすると風が吹き、ヒロアキはその場に復元された。
全裸のまま、立ち尽くしている。
汗が吹き出し、膝が笑う。
「……さあ磔の時間だ」
ヒロアキを取り囲んだ鬼がささやき、体をつままれて壁にくくりつけられた。
「……いてぇ……がっは………げほ」
「……くそ……まぁ死なないならいいか……500年耐えたらまたやってやる………」
苦痛に顔を歪めながらも、どこか余裕のある顔をしていた。
そう、まだヒロアキの憎悪は尽きていない。
「おいそこの男」
鬼が叫ぶ。
「舐めたマネしたら、容赦せんぞ」
「まずは………ここに来たやつが1回で心を壊されたものからだ。」
「腹とやらを潰してやる。死なない程度にな。………そう。死なないと、戻れない。わかるか?死なないと、だ。」
「死なないように、優しくやってやるよ」
「ぐふふふ……まずは貴様の筋肉……どれどれ。……ふむぅ……っクッ!!!はっはっはっ」
鬼はヒロアキの肉体を眺め、笑った。
「貧弱だなぁ……人間の世界では、それで生きていけるのか?」
笑いながら問いかける。
「ちょいと試してみるか」
鬼はそう言って、ヒロアキの股間めがけて指をバネのようにしならせ、爪を当てた。
バチン!!と音がした。
「ぅ………うぎゃーーーーーーー!!!!!ぎゃあーーー!!あーーーー!!!!ひぃっひい!ぎゃぁあああああ!!」
ヒロアキが叫ぶ。全身の筋肉が収縮し、筋肉の部位がくっきりと浮かび上がった。
股間はグチャグチャに潰れ、大事な所はただの肉片と化していた。
「おお、いい声だ」
「ここはどうだ?」
グチョ!メリッ……と数秒音を立てて、ヒロアキの脚が片方もぎ取られた。
付け根からは切れた筋繊維が数本垂れ、大量の血液が噴出していた。
ビシャア!ビシャア!!!と、血が流れる。
「細く脆い身体よのぉ」
鬼はそう言って、太ももの付け根を指で潰す。
血管もろとも組織が潰され張り付き、血は止まった。
しかし、その衝撃により骨盤は歪んで折れて歪な形となり真っ青に腫れていた。
「……ギッギッギ………ガッバ……ガ………ァァァ」
ヒロアキは意識を朦朧とさせながら、身体を痙攣させて呻き声を上げ始めた。
鬼は千切った脚を見た。
「ふん……自分の足の筋肉、お前食べろ」
鬼は脚の皮を剥き、筋繊維を露出させた。
指で筋肉をむしり、ヒロアキの口にねじ込む。
「が………ぉぶ………む………」
ヒロアキは腹をひくつかせて胃液を吐き続けながら、強引に押し込まれる。
口を無理やり開けさせられ、喉の奥に指でぐいぐいと押し込まれる。
最初は弱々しく抵抗していたヒロアキだったが、次第に動きは弱まりだらんと垂れてしまった。
「む……これはやりすぎたな」
「もう心臓が止まりかけている。こいつが弱すぎて力加減をまちがえたか?」
「まぁいい。次だ」
鬼たちは手を止め、風が吹くのを待った。
「……よくみるとこいつの腹、8つに割れてるな。人間の貧弱な身体の中で唯一面白みがある所だ」
「一般的な人間より、見たところ筋肉量が20%多いか………鬼の筋力の1/1000だがな」
「そういうなよ、ふはは!!……さて腹の筋肉、次だな……ぐふふふふ」
ビュウッ……と生ぬるい風が吹き、ヒロアキは再び復元された。
「……ぃやだぁ………助けて……」
「本当に殺してくれ」
手足をばたつかせながら、ヒロアキは怯えていた。
鬼が笑いながら言う。
「まだ、40分だぞ?あと499年23時間20分ある。そんなに急ぐなよ、たと1万回は人間の身体を試させてもらうぞ。」
「正気のうちに聞いておこうか」
「筋肉は鍛えていたのか?何をやっていた」
「……いやだ!やめてくれ………離せはなせはなせ……いやだ」
ヒロアキはパニックになり、暴れ続けていた。
鬼はしばらくそれを眺め、ヒロアキの頭部を金棒で殴った。
「胸糞悪い奴め」
鬼は容赦なく、ヒロアキの頭めがけて金棒を振りかざす。
「離せ!やめろ!何する!!……殴るなよ!!殴るなって!やめ」
「ぽ」
メチャッ………と音を立てて頭がひしゃげる。
身体中の筋肉が一瞬硬直した。
そして、ヒロアキは潰れた頭部から心臓の拍動に合わせて血を噴出させた。
手足が痙攣して小刻みに震え出す。
グポォッ!げぽっ
ボコ………
ブシュウッ!!シュッ!!シュッ!!
僅かに残った脳が、まだ呼吸しようと血液で濡れて潰れた喉を鳴らす。
「あーあ、また潰しちまった。気持ち悪い音立てやがって。」
鬼は半分崩れた脳が露出している頭に石を投げた。
「ぐふふ……はいったぜ」
ヒロアキは両手をビクッと挙げたのち、だらんと垂れた。
そして数分後、生ぬるく風が吹く。
ヒロアキはふたたびそこに復元された。
「ぁあ……いやだぁ………やめてくれぇ」
弱々しくうめく。
鬼が再び集まり、話しかける。
「おい、その男」
「筋肉がそこそこ発達しているようだが、なにをしていた」
男は虚な表情で答えた。
「ジムの………トレーナーだ」
「……なぁ。もうやめてくれ。怖いんだ」
鬼は笑う。
「ぐあっはっは………笑わせるなよ。お前は罪を犯したのだろう」
「俺たちに弄ばれるんだよ」
鬼はそう言うと、男の腹筋を見定めた。
「……フン。見せてみろ」
鬼は、指で男の腹筋をグッと押した。
背骨まで突き刺さる力で押された。
「ぐぉ…………!!!」
ヒロアキは口から大量の液体を吹き出した。
腹は、鬼が指を離しても凹んだままだ。内臓も筋肉も潰れ、おそらく体内は出血している。
「やはり人間は脆い。おもちゃにもならんな」
鬼は面白くなさそうに呟く。
「まだ4つボコボコがあるな……全部一気に潰すか」
鬼は指の関節を曲げ、第一関節でヒロアキの腹全体を押し潰した。
ヒロアキの残った腹筋は最大まで緊張し、割れた筋肉の区画を浮かび上がらせている。
だが、抵抗虚しく腹は凹んでゆく。
「がふっ!!げぇーー!!!」
ビチャビチャと音を立てて、血を噴水のように吐き出す。
腹はいびつに凹み、腹部の筋肉はほとんど潰れて形が戻らなくなっていた。
潰れた内臓が骨盤に落ちて溜まり、腹は変に膨れている。
ヒロアキは青い顔でぐったりとしていた。
鬼がつぶやく。
「いまいちだな。やり直しだ」
鬼は、ヒロアキの胸を掴み、おもむろに引き剥がし始めた。
「う……ぎ………ぁあああ」
「ぅあ………ご………ぎゃあ………」
ヒロアキはわずかにうめき、そして弱々しく四肢をばたつかせていた。
バランスよく盛り上がっていた左右の大胸筋は、弱々しくも必死に力を入れて抵抗したもののブチブチと筋繊維が切れていく。
そして最後にベリ……と音がして、ヒロアキの大胸筋と肋骨がもぎ取られた。
鬼はその塊を地面に捨てた。
まだ高速で動く心臓が露出した。
肺は苦しそうに伸縮を繰り返している。ところどころから出血しており、充分な呼吸機能は維持されていないようだ。
もうヒロアキは意識がなかった。
鬼は、その体内に手を入れて心臓を握りつぶした。
パンッ!!と軽い音がして、心筋が裂けた。
それでもなお、わずかに鬼の手の中で心臓ははくどうしていた。
「………あああ」
おそらく偶然に肺の空気が声帯を震わせて短く叫んだ後、ヒロアキは壊れた蛇口のようにチョロチョロと射精しながら絶命した。
そして、ヒロアキは再び風が吹いてその場に蘇り、何度も何度も弄ばれるのだった。