とあるマンションの一室に、銀色に光る四角い装置があった。その横には、50キロはありそうな頑丈な木製の椅子と、バラバラとほどけたロープが無造作に置かれていた。
装置には、15本の伸縮ができる内視鏡のような、細い管が取り付けてある。
その管の先には、人の手のような形のゴムで覆われた触手が取り付けられていた。
夕方ごろ、その一室に2人の男がやってきた。
1人は、なぜか歩くのがやっとなほどに弱っており、もう1人の肩を借りてようやく歩いている。
ーーユウ…お前、次逃げ出したらどうなるかわからんぞ…
ドスの効いた声で、男が話す。
ユウは、声にならない声で返事をした。そして、力なくうなずくことしか出来なかった。
…さあ続きだ。
ユウは椅子の前まで連れてこられた。
そのまま強く両肩を持たれ、男に強制的に椅子に座らされる。
着ていたTシャツを脱がせ、床に投げ落とす。
すらっとしたその体には、発達した筋肉は付いていなかった。
男は、慣れた手つきでユウをロープで拘束し始めた。
ーもうほどけないように、幾重にも。
手は椅子の背もたれの後ろで結ばれ、足は椅子の脚にそれぞれきつく縛られた。
「ぃ……いやだぁぁあああっ!やめろぉーー!やめてくれぇーーー!やめろぉぉーーーッ!!」
ユウが暴れる。
椅子がガタガタと動くだけの虚しい抵抗だ。
冷や汗で身体中がじっとりと濡れているユウの口からは、ヒィッヒィッと小さな恐怖がが漏れ続けていた。
男はそんなユウを尻目に、銀色の装置から伸びる触手をリモコンで操作し始めた。
すると、銀色の装置から合成音声が流れる。
「目標対象を認識しました。開始します。」
「処理パターン48。速度は最大値が指定されています。」
そう言い終わると、実に滑らかな動きで触手はユウの体に密着していく。
そのままくすぐりの動作へと移行していった。
「あっ…あははははははぁーーははっはっ…!ックックぁーーーっはーーっ!たぁっすっけーーーーーぁあっはっはっはっはっ…!」
ほどなくして、ユウは笑い出した。
装置は、与えられた処理パターンに忠実に従い冷酷にユウをくすぐり続ける。
ユウはなんとか逃れようと力の限り体を捩り、触手を回避しようとする。
すると、またもや銀色の装置がしゃべる。
「対象の行動パターンが変化しました。自動追従モードを有効にします。」
一切逃れることが出来なくなったユウは、もはや1秒の許しもなく狂ったように笑い続けている。
腹が痙攣し、ビクビクと規則的に動く。
笑いといっても、普段のアハハハ…という声はもはや出せず、カッカッカッカッ…と喉の奥で小さな変な声を出しながら大きな口を開け、涙を流し続けている。
そして息を吐き切った後は更に口を大きく開け、必死で酸素を吸い、体内に供給する。
そして、また笑い続ける。
しばらく笑い続けたユウは筋肉疲労が積み重なり、笑うための筋収縮力を得られなくなってきた。
ユウが身にまとう全身の貧弱な筋肉が、悲鳴を上げ始めた。
「カッカッカッカッ…ぁぁぁはぁっ……ッズぁぁぁぁーーーー!ハォァーーーーーアアあっ!はーーーぁあはははっッカッカッ…」
ユウは、それでも必死に呼吸を続ける。
ズーー!ゴーー!と喉から音を立てて、身体中の筋肉をフル動員して呼吸を行なっている。
身体中が赤くほてり、全力疾走を何本もしたような熱気が立ち込めている。
男がつぶやく。
「ユウ、お前にはもっと苦しみが必要だ。うちのグループを抜け出そうったって、そう甘くないぞ。抜けるにはな、死ぬくらいの覚悟、あるんだろうな?」
そう言って男はリモコンを操作する。
「処理パターン変更します。71になりました。」
またもや装置がしゃべる。
2本の触手がくすぐりをやめ、ユウの顔に近づいていく。
おもむろに1本は鼻、もう1本は口を塞ぎ始めた!
「ッブゥウウウウッ!ウーーーーーーッ!ウーーーーーーッ!」
ユウは息も吐き出せず、腹圧が高まったままの状態で呼吸を強制的に制限されてしまった。
とてつもない苦しみに、ユウの目は見開き充血を始める。
顔はみるみるうちに真っ赤になり、ピンクを越してどす黒い赤に変化していく。
腹筋は必死で収縮と弛緩を繰り返し、どうにか呼吸ができないか悶絶している。
身体は極限の苦しみを少しでも紛らわそうと、バタバタと激しくのたうち回っている。
しばらくすると、触手は口だけを解放した。
「ップハァアアッ!ハァーーー……ぅうううースゥーーーーーーーーー!ぁぁああああはーーはっはっはっはっーーーーー…」
呼吸を再開したユウは、死に物狂いで酸素を求める。だが身体中の筋肉はすでに疲弊し切っており、満足に呼吸が出来なくなっていた。
ユウの横隔膜はもはや自力では上下運動ができず、身体中の筋肉を使ってどうにか胸郭を広げて息を吸い、腹筋群を無理やり収縮させ息を吐く。かろうじて、呼吸が継続できている状態だ。
そうやってなんとか呼吸が出来たのも一瞬だった。笑いの合間に何とか息を大きく吸ったその瞬間、また触手が口をふさぐ。
「グッ!!!・・・・・・・・・・ググググォォオオオーーーッ!」
ユウの顔がまた赤くなり、手足が暴れ出す。だが先ほどまでの激しさはなくなり、弱々しい抵抗になっていた。
弱り切った腹筋もビクビク痙攣することしかできず、呼吸を求める力の大半は失われていた。
それでもなお酸素を体内になんとか送り届けようと、極限まで心臓の鼓動が早く強くなる。
ユウの薄い胸板を通り越して、心臓はドクドクと激しく脈動を始めた。
「あ・・・ぁ・・・・・ あぅ・・・あっ・・
そして、ユウは白目を剥き始めた。
身体中がガクガクと激しく痙攣を始め、脳の機能低下による無秩序な筋肉運動が始まった。
壊れた操り人形のようにガクガクと震える体。
心臓の鼓動は最大となり、ユウの全身はドクンドクンと脈打って何とか身体中に血液を届けようとする。
屹立した性器からは、拍動に合わせ、勢いよく精液が吹き出す。
通常、男がオナニーで絶頂を迎えた時は7~10回程度の射出が起こる。
ユウは10回も20回も、ビュービューと白濁した精液を撒き散らしていた。
30回ほど射出し、さすがに精液が出なくなってからも全身の筋肉を極限まで使用しているため、前立腺に大きな刺激が与え続けられる。
このため、ユウの屹立したものはビックンビックンと壊れたポンプのように動き続けるのである。
18歳のどこにでもいるような気弱そうな男はこのグループから逃れることはできず、地獄の苦しみを味わった。
それからどうにかグループの一員でなくなることはできたが、3日間地獄のような拷問でくすぐり続けられたのだった。