「殴打30発の刑に処する」
とある国の裁判所が、悪事を働いた男にそう告げた。
「……へ、へへ。なんだ、それだけか……」
男はニヤッと笑った。
「人を10人も殺して、たったそれだけかよ……検察も大したことないぜ」
弁護士に向かって、男はそう言った。
「俺の筋肉見ろよ、この腹筋。ボコボコだぜ」
そう言って腹を見せて笑った。
「……何を言ってるのです。この刑は……ほぼ死刑かと……」
弁護士は、男に哀れみを感じていた。まさか殴られて終わりと思っているのか、そう感じてさえもいた。
「…いいですか。殴打刑とは、あなたのその逞しい筋肉を、粉々に破壊し尽くす刑ですよ」
「おう、何なら500回くらい耐えてやるよ、骨折れても治るしな」
「棒切れで、やられるんだろどうせ」
「…ちがいます。重さ10キロの鉄パイプで、あなたの筋肉という筋肉を30回潰すのですよ!1回1回、屈強な軍人が人を代えて殴るのです」
「なんだと……そんなこと聞いてない。てっきり、袋叩きにされるだけだと……。そんなのされたら筋肉どころか骨も……内臓もイカれちまう」
「当たり前です……それほどまでに恐ろしい刑なのです。」
……当日………
裸の男は、手を後ろに括られて壁に固定されていた。
土木作業で鍛えた20代の逞しい肉体は、脂汗で光っていた。
(鉄パイプと言っても10キロだろ……そんなもの……30回なら耐えられるはずだ)
(この筋肉をみろ、8つに割れた腹筋、100キロ上がる胸筋、コンクリで鍛えた肩……足も筋肉の塊だぞ……)
「殴打刑、開始」
そう告げられ、屈強な男たちが30人現れた。
それぞれで鉄パイプをもち、順にやっていくらしい。
1人目……
1人目の男は、無言で鉄パイプを構えた。鉄パイプが風を切り、びゅう!!と音を鳴らし、男の腹に軽くめり込んだ。
「ふふふ!何を怖がってるんだ、これは準備だ。いまからのはもっと腹を硬くしろよ」
(くる……くる!!腹の筋肉を硬くっ!!耐えろ)
腹筋をミチミチと硬くし、息を止めて打撃を受け止めようとした。
「……ふ……ふふ」
「そんな腹筋を硬くしても無駄だ…しかし綺麗な形だな、全てが同じ大きさだ」
「厚さも中々…。だがこの刑には…少し貧弱だな」
そう呟いた鉄パイプの男は、腹にトントンとパイプを当てて位置を確認する。
「あっぁああがああああ!!!」
男が思わず叫ぶ。
ベシィッ!!!
ガァーーーーン!!!
鉄パイプと腹がぶつかった音、鉄パイプが響いた音が同時にした。
8つに割れた筋肉は全て凹み、特に上6つはパイプの形で潰され、元に戻らなくなった。
筋繊維が文字通り潰され、神経も潰れ、力を入れて収縮させることができなくなったのだ。
一瞬にして、腹直筋が不能になった。
「……ご…ごぶ………ぶぁ」
「……ぶぶぉ………」
男は一撃で腹の筋肉を潰された。
必死で硬くしたことで、不幸にも内臓を押しつぶす壁になったようだ。そのおかげで内臓は大きな損傷を負った。
口からは血の混じった胃液を吹き出し、何度も嘔吐している。
「あっ………は………ぁ………あ…………。」
呼吸しようと必死に吸おうとするが、腹部が悉く麻痺しておりうまく息を吸えない。
心臓の高鳴りだけが耳に響き、苦しさが頭を駆け巡り続ける。
(やばい……やばい……筋肉潰れた……胃…裂けたか……腹が熱い……血が腹の中に溜まってるにちがいない)
「おっまだ生きていたか」
鉄パイプの男は、この男の腹筋を触る。
形こそ割れたままだが、真ん中は無惨にも凹み、指で強く押しても柔らかいスポンジのような筋肉から反発はこなかった。
2人目。
軍人が鉄パイプを持ち、男の胸筋にペシペシと当てる。この場所にぶちかます予定のようだ。
「大胸筋……意外と脆いんだぜ?まぁ……その腹見てたらわかるだろうよ」
「胸の筋肉は中々立派だ……だがこの鉄パイプには無力。どんなに分厚くても、筋肉は………潰れるんだ」
(29回っ………大胸筋……耐えるしかない……)
ゴォオオオンーーー!!!
ベキっベキベキ…
「ぐぉあ………ぉ」
潰れた声をあげる。
男の肋骨は粉々に砕け、必死に硬くしていた大胸筋は鉄パイプの形に無残にも凹み、体内にえぐれた。
やはりそのまま形は戻らなくなり、筋肉としての機能を失い肺も潰れたようだ。
鍛えられた美しい大胸筋はなくなり、ベコッと凹んだ胸の上でヒクヒクと細かい痙攣を繰り返すようになっていた。
「あひぃーーーー………あひぃ………ばひ………はぴーーー………あひぃーーー」
男はどこからか漏れるような音を立て、必死に力一杯呼吸を維持していた。
大胸筋や腹筋はもう紫に染まり、脱力していた。残されたわずかな筋肉が呼吸のたびに収縮し、そのかわりをしようとしている。
軍人が覗き込んだ。
「おーおー、息ができないか。呼吸器官がかなり潰れたもんなぁ。肋骨も折れてる」
「早くこの刑が終わるといいな」
「……ひゅ……ひゅう…………ひぃ……がふ…がっふ」
肺にも細かな亀裂がたくさん入り、息が漏れてしまい呼吸が満足にできない。
もう何も考えられなくなり、ただ必死に呼吸を繰り返す。
3人目………
男はぜぇぜぇと苦しそうな呼吸を続けていた。
2回の打撃による生命危機を感じたのか、18.3センチの巨根は激しく勃起していた。
「ご…ごめんなさいぃぃい」
「すみばぜんで……じだ……もうやべでください」
男は思わず命乞いをする。
3人目の男は、震えが止まらない男の股間に鉄パイプを何度も擦り、鬼頭を刺激し続けた。
「お前もか。このへんで、みんな勃起しやがるんだよ。ガリガリで筋肉ないやつが、小さいチンコ勃起させながら腹殴られて、血反吐はきながらドバドバ射精したりするんだよな」
「……ぁぁ、でも腹筋も大胸筋、肋骨、全部かなりイッてるな……ふふ。満身創痍ってやつだな」
「さ、もっとよがれよ。よがってる間だけ、殴るのやめてやるよ」
男は今感じられる快感に逃げようとし、腰を振り鉄パイプに性器をこすりつける。
ほどなくして精液が溢れ、身体中に快感が巡る。
「あっ……ぅううう!!もっとチンコに……腹はやめてぇ……ちんこだけぇ」
「…もっとよがれ……」
「声に出せ」
「きっ………気持ちいいですっ!!おれの勃起したチンコがピクピクする……」
「あんっ!!」
「……ぁあっまたいくっ」
「イクのが止まらない……やめないでくださいぃ」
男は必死に腰を振り、鉄パイプに股間を擦り付けた。
「おねがい……します………ひっ……そっそこいいーーっ………」
「……あっあっあっあっまたいくいくいくい」
そして鉄パイプを持った男が突然振りかぶり、目にも止まらぬ速さで容赦なく振り回す。
ドバチィッ!!!
ボクゥ!!!
「くいく………ぁあああ」
「いでぇええ………ぇ…………」
かろうじて形をとどめていた腹筋の下部にめりこみ、男の下腹部を潰した。
運悪く、射精直前の勃起した性器も挟まれていた。
「…………き……き………ゃ」
男はもはや声も出ず、下腹部を破壊されたことで生殖機能を失った。
勃起したペニスは楕円にひしゃげ、根元で海綿体が折れたのかブラブラと揺れ始めた。
幸い、射精時の快感が彼を支配していたため痛みはあまり感じていなかったようだ。
「殴ってないぜ、振り回しただけ」
「残念なことに、そのチンコ潰れたなぁ……」
鬼頭が潰れ、血まみれのペニスからは尿やら精液やらがバシャァーー!!と激しく流れている。
先ほどまではハァハァと激しく上下していた下腹部は、みるみるうちに赤黒く染まっていった。
身体は筋肉の支えを失い、骨が砕け、殴られた部分が凹んでいた。
「がっ………がっ…………がっ…………がっ……」
男は表情を失い、虚な目をして口をぱくぱくと動かし、血を吐き続けた。
急に全身を激しく揺らし、折れた性器からはピンクのドロドロした液体が流れつづけている。
それと並行して、10秒ほど奇妙に全身が揺れたと思ったら静かになった。
では4人目……というところで、男の様子を確認すると既に事切れていた。
4人目の男が言った。
「ちっ、終わりか。次は背骨だったのにな。……ま、5回から先のプランは元々ないんだよ、俺で100パー終わるからな、フッフッフハハ」
「……ぁあまだ心臓が動いているな、頸動脈が動いている。潰しておこうか」
そういって、男のベコベコに凹んでなお厚みが残っている大胸筋周辺を激しく殴打し始めた。
これは、胸の膨らみがなくなるまで続いた。