近年低下する、男性の肉体強度を調査するため、一部地域の20〜30歳の男性からランダムに対象を選び、筋力検査が実施された。
■ケース1
田原雄太 26歳。178cm、71kg。営業部に所属するサラリーマンだ。
日曜日の朝、10時に親展郵便が届いた。その中に入っていた封筒には、こう記載されていた。
「肉体検査のため、来月の10日にXX会館の107号室にお越しください。」
「なんだこれ?」
特に気にもとめず、ゴミ箱に捨てた。
何事もなく、日が過ぎていき翌月の10日になった。この日も雄太は休みの日で、朝に泳ぎに行った後は寝て過ごしていた。
夕方ごろ。
ピンポーン!
誰かが呼び鈴を鳴らした。
雄太はのそのそと起き上がり、スウェット姿のまま玄関に向かう。
「はい、どちら様で………うぁあ!なんだ!!」
ドアを開けると、屈強な男が数名待ち構えていた。
「田原さん、本日お呼びしていましたがお越しにならなかったので強制執行します。お宅、上がらせていただきますね。」
有無を言わさず話した後、数名の男は丁寧に靴を脱いでから雄太を半ばかついだ形で部屋へ上がっていった。
「ちょっ!!何するん……おいやめろよ!」
今も水泳を続けている雄太は体力には自信があった。だが、本気で暴れてもビクともしない。
「クソっ!!降ろせよっ!」
ようやく寝室に降ろされ、スウェットを脱がされた。
程よく発達した筋肉質な上半身があらわになる。腹筋が薄く割れ、興奮しているためか首筋には血管が浮き出てドクドクと動いている。
「まずはレベル1。」
男が静かに話し、横にいた記録係が何かを書き始めていた。
バスゥッ!!ドスッ!!
オロオロしている雄太めがけて、屈強な男が3名同時に腹や脇腹へパンチを繰り出した。
「うぅぐぉあーーーっ!!!、ゲホォーーーーーーー!!!!」
雄太は顎が外れるほど口を開けて唾を吐き、腹を押さえてその場でうずくまった。
「うぇっぷ!おごぉ……!!がっ!!!」
「なにす………るんだ……よ………いてぇ………」
「つぎはレベル2。」
どすん…!!!
一番重そうな男が、雄太の真っ赤に腫れた腹の上に乗った。
「はうぁあ!……ヒギィーーーー!!!ィィィイイーーー!!!!!」
雄太は腹筋が盛り上がるほどに腹に力を入れ、甲高い悲鳴をあげた。足をジタバタし、腕で男をどかそうとするが全く動かない。さらにその状態から雄太の胸の上に別の男が乗った。
「………!!!ェェェーー……」
息を吸うことができず、堪えているものの少しずつ肺から空気が漏れる。
手で男を押しのけようとするが、流石に動かない。
発達した大胸筋が猛烈に収縮しているが、男はさらに重さをかけてきた。
「………ガァッ!!!フゥッ!!!………ガァッ!!!」
雄太は両手をだらんと垂らし、堪えられず息を吐き出してしまった。だが瞬間的に必死に酸素を取り入れ、呼吸を繰り返す。汗だくになり、全身を使って呼吸する。
「レベル3。」
残りの男が電極のついた通電装置を取り出した。心臓付近と下着を脱がせて性器の根元を繋ぎ、電流を流す。一瞬、バチっ!という音がした。
「いゃぁ………やめっ!!………ぁあああーーー!!!」
2人に乗られたままの雄太の体は、その重さをもろともせず跳ねた。激痛に全身が硬直し、筋繊維が勝手に動き出す。バンバンと跳ねながら、勃起していない性器から精液が溢れ出る。
「いたいーー!!!あーー!がぁーーー!!!」雄太はすべての力を振り絞って叫んだ。だが、電流は弱まることなく流れ続け、筋肉を容赦なく疲弊させていく。
「上腕筋をテストします。」雄太の腕の筋肉が、一瞬にして筋張り始めた。腕がまっすぐに伸びたり曲がったりを繰り返し、筋肉が強制的に何百回も動かされていた。上腕二頭筋が強い収縮を繰り返し、血管が浮き出て限界までパンプアップしていた。
「うでが…もう……動かない………ッアアアアアーーー!!!いだぁーーーーーぃいいいーー」
そして筋繊維は疲れ果て、ピクピクと筋が動くだけとなった。それでもなお通電は続き、動かない腕の筋肉は痛めつけられる。加速度的に蓄積する乳酸を分解するため、呼吸はますます激しくなる。
「つぎは呼吸筋」
しかし、そう唐突に告げられた途端雄太は突然息が止まった。「………!………!………!」
盛り上がった大胸筋が虚しく上下するが、胸郭がついてこない。更に力を入れて腹や肩の筋肉を必死で動かし、なんとか肺を動かそうとしている。
口を大きく開けてパクパクし出したものの、呼吸に必要な筋肉が全く動かず空気を取り込めない。体内の酸素消費が激しいのに、急激に酸欠に陥る。
「横隔膜を強制収縮させ、酸素摂取耐久力を検査。」
雄太の腹は小刻みに揺れ出し、ハァハァと非常に速い呼吸を繰り返し始めた。
「ハッ………!アヒィッ!!ヒァッ!!やめっ!あっぁ!!やめっ!!!お!!!あ!!」
横隔膜を強制的に、そして高速に動かされる。腹は小刻みに震える。しかし酸素は思うように取り込めず、苦しみのあまり雄太は暴れ出す。
「暴れないでください!」
男たちはそういうと、雄太の腹を膝で潰した。グニュウ…という音がした。
「ゲェーーーー………ァァァァァ」
男の膝には腹筋の抵抗が伝わったものの、一瞬で緩んで嘔吐が始まった。雄太の腹筋はボコボコと動き、胃の内容物を出している。
だが体内の酸素はどんどん失われていく。性器が突然勃起しだし、一旦は止まっていた射精が再開した。
「苦痛反射による勃起および射精を確認しました。長さは14.8センチ。勃起力は平均的…精液は標準より良好…」
記録係は淡々と様子をメモする。
次第にググググ…と小刻みに揺れる低い声を出し、弓なりに激しく痙攣し続ける雄太は真顔になっていき白目を剥き始めた。
「測定完了。この男性の肉体強度は問題はありません。」
記録係がはそういうと、残りの男たちもすぐに部屋から出て行った。雄太は筋肉を痙攣させながら泡を吹き、大量の精液や尿を垂れ流したまま、次の日の朝を迎えたのだった………。